2006 Fiscal Year Annual Research Report
太陽フラウンフォーファ線のスペクトル差分を利用する植物蛍光の画像化装置
Project/Area Number |
18656085
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
野村 彰夫 信州大学, 工学部, 教授 (00115362)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉藤 保典 信州大学, 工学部, 教授 (40135166)
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Keywords | 太陽 / フラウンフォーファー線 / 差分計測 / 植物蛍光 / 画像 |
Research Abstract |
太陽光に誘起された植物からの蛍光を指標とした、植物生育の精密画像診断装置の開発を目標にして研究を行っている。平成18年度は、1)太陽フラウンフォーファー線を利用するスペクトル差分計測法の提案と、2)太陽スペクトルの精密差分計測、および3)植物蛍光のシミュレーション実験を行った。 1)太陽フラウンフォーファー線を利用するスペクトル差分計測法の提案:植物蛍光は微弱であるが生理学的情報を含み、非破壊・非接触で生きたままの植物の生育診断できる可能性を持つ。太陽背景光に埋もれる微弱な植物蛍光を検出するには、フラウンフォーファー線と呼ばれる太陽スペクトルの暗線を利用するのが効果的である。暗線の近傍波長との差分を取れば、蛍光以外の要素が除去できるはずであり、目的とする微弱蛍光を検出できるはずである。 2)太陽スペクトルの精密差分計測:光入力ファイバ、分光器、CCDラインセンサからなる、太陽スペクトル計測システムを構築した。屋外での太陽観測結果から、地球大気酸素の吸収暗線A線とB線、太陽大気水素の吸収暗線C線の利用が有効であることが解った。またA線とB線のスペクトル幅はそれぞれ2nmと1nm、C線のものは0.8nmであった。 3)植物蛍光のシミュレーション実験:植物蛍光スペクトルを理解するためのシミュレーション実験として、植物葉を用いたレーザー誘起蛍光計測の実験を行った。蛍光ライダーを製作し、屋外約15mに自然生育しているケヤキの葉を測定対象とした。その結果、A線付近ではクロロフィル分子の長波長側の蛍光ピークが見られた。B線付近では同分子の短波長側の蛍光ピークが現われた。またC線付近の蛍光は他のものよりも小さな値となった。 以上の結果は、平成19年度に予定している装置設計・製作についての重要な指針を与えるものである。
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