2006 Fiscal Year Annual Research Report
アルカリ土類金属を用いたシリコンベース狭ギャップ半導体
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18656093
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
末益 崇 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 助教授 (40282339)
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Keywords | シリサイド半導体 / 禁制帯幅 / 分子線エピタキシー |
Research Abstract |
Sr_2Siはシリサイド半導体であり、最近の理論計算より、直接遷移型の狭ギャップ半導体であると予想されている。このため、Si基板上の新しい発光・受光デバイス用の半導体として期待できる。しかし、これまでSr_2Siを単相で成長したとの報告例はない。そのため、Sr_2Siが本当に直接遷移型の半導体であるか否かを明らかにするには、Sr_2Siを結晶成長し、その光学特性を評価する必要がある。これまでのBaSi_2の研究から、MBE法によりSiおよび透明な石英基板上に厚さ500nmを超えるBaSi_2膜、Ba_<1-x>Sr_xSi_2膜の形成に成功している。石英基板を用いるのは、光吸収特性の評価の際、基板の影響を排除するためである。この結晶成長装置を使うことで、Sr_2Si膜の形成が可能と考えられる。また、Sr_2Si膜の形成時、Srと等電子的で原子半径の大きなBaを照射して、(Sr_<1-x>Ba_x)_2Siを形成できる可能性がある。本年度は、その前段階として、多結晶Ba_<1-x>Sr_xSi_2膜を形成し、その光学吸収端がSrSi_2モル分率にどのように依存するか調べる実験を行った。 その結果、光吸収特性を評価したところ、Sr添加に伴い禁制帯幅が1.4eVまで拡大するとの実験結果を得た。しかし、Ba_<1-x>Sr_xSi_2膜のSrSi_2モル分率が0.77まで大きくなると、X線回折測定から、形成した膜はBaSi_2とBa_<1-x>Sr_xSi_2に組成分離することが明らかになった。これは、BaSi_2のBaサイトを100%Srで置換したBaSi_2型のSrSi_2が室温で安定に存在しないためと考えられる。さらに、Ba_<1-x>Sr_xSi_2膜の間接光学吸収端は、SrSi_2モル分率が0.5までは線形に増加するが、それ以上モル分率が増加しても、間接光学吸収端は増加せず、飽和することも分かった。
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