Research Abstract |
まず,平成17年度までの調査専門委員会報告書を完成させ,その成果と残された問題点を明確にした(裏面の図書に記載した電気学会技術報告1071号)。次に,平成18年度から電気学会に「屋外用ポリマー絶縁材料の表面機能と長期性能調査専門委員会」(委員長・電中研・本間,幹事・岐阜高専・所,東芝・平野,幹事補佐・昭和電線・植田)を立ち上げ,本研究の目的と研究範囲を,委員会参加各大学・研究機関相互に補完的な関係になるよう調整を進めた。そして,現在までに下記の実績・知見を得た。 主要研究設備の改良 設備費で購入した高分解能赤外線サーモグラフィレンズを用いて,試料面の温度分布とその時間的変化を計測可能とした。更に,現有設備による表面撥水状態の画像解析結果との対応を検討可能とした。そして撥水性と,試料温度の位置的・時間的変化の把握とそれらに対する補正・校正技術について検討した。 得られた知見 撥水性は時間的にも場所的にも変化する。この撥水状態変化の原因は,固体面の温度分布とその変化,液体の表面張力と温度の変化,固体面の吸水状態の変化,固体表面の有極性成分の配向による時間的変化などである。これらのうち,吸水量とその深さは,表面設置くし形電極系の電極間隔を変えることにより評価可能であることが示唆された。固体面の撥水状態のばらつきとその時間的変化は,誘電特性の計測と撥水状態の動画像解析により評価した。そして,これらの撥水状態のばらつきや時間的変化に対して,固体面と液滴の温度の変化(表面張力は大きな負の温度依存性を有している)が,試料の吸水量の変化や劣化・配向など,試料表面状態の計測・評価結果にどの程度影響するのかを定量的に計測・評価することを目指した。その結果,試料温度の上昇は見かけ上撥水性を向上させる可能性があり,撥水性が低いほど撥水指標の変化が顕著であることが示唆された。
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