2008 Fiscal Year Annual Research Report
表面自由エネルギーの温度依存性を利用した表面状態評価技術の検討
Project/Area Number |
18656098
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Research Institution | Gifu National College of Technology |
Principal Investigator |
所 哲郎 Gifu National College of Technology, 電気情報工学科, 教授 (10155525)
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Keywords | シリコーンゴム / 撥水性 / STRI法 / 表面自由エネルギー / 負の温度依存性 / サーモグラフィ / 劣化診断 / 屋外絶縁 |
Research Abstract |
主要研究設備の改良。高分解能ビデオカメラを用いて、試料面の各部分ごとの撥水状態を同時撮影して画像解析可能とした。サーモグラフィカメラで計測した各対象部分の温度と、撥水性の時間的変化の同時計測により、試料表面温度とその撥水状態の関係を定量的に解析可能なシステムを構築した。これらにより、表面自由エネルギーの温度変化や位置的・時間的変化の把握と、それらに対する補正・校正技術の確立を進めた。 測定項目と方法。撥水性はスプレー(STRI)法と接触角法の両方の手法により計測した。また、試料面温度・表面荒さ・試料の種類や吸水状態などが撥水性の評価結果に及ぼす影響を5種類のシリコーンゴム試料を用いて比較・検討した。吸水量は試料の重量測定と誘電計測によっても評価した。 本研究により得られた知見は次の通りである。 1. 撥水性を計測する試料面の温度が低いと、室温の噴霧液および水滴を用いた観測の両方で、撥水性は見かけ上低く観測され、試料面の撥水性能が低いほど、その見かけの低下はより顕著となる。逆に試料面の温度が高いと、撥水状態は良く評価される。 2. 接触角法は撥水性の良い状態、スプレー法は撥水性の低下した状態を評価するのに適する。 3. 撥水性形成過程の水滴面積と円形度の動的変化により試料の劣化や撥水性を評価できる。 4. 誘電特性により撥水性と同様に試料の種類や吸水状態等を評価可能である。撥水性と誘電特性は必ずしも吸水量と比例関係を示さず、充填材表面等での水の分布状態が大きく影響する。 5. 試料表面粗さの変化は、より大きな撥水性能の変化をもたらす。特に表面荒さの大きさに加えてその周波数により、撥水性能をコントロールできる可能性が示唆された。 6. 以上について、関係する電気学会調査専門委員会で国内の主要研究者と議論するとともに、電気学会研究会・全国大会シンポジウム・国際会議等で発表した。
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