2006 Fiscal Year Annual Research Report
情報理論的に安全な多重符号化法に関する符号化定理とその応用
Project/Area Number |
18656110
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 博資 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (30136212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩本 貢 電気通信大学, 大学院情報システム学研究科, 助手 (50377016)
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Keywords | 盗聴通信路 / ビットコミットメント / 符号化定理 / 多重符号化 / 秘密分散法 |
Research Abstract |
多重符号化に関して以下の3つの成果を得た. 1.盗聴通信路を通して秘密情報を安全に伝送できる符号化レートの限界が,秘匿通信路容量として定義されている.本研究では,複数の秘密情報を一度に多重符号化することにより,個々の情報を完全に安全に保ちながら,全体の送信符号化レートを,一般の通信路容量まで大きくできることを理論的に明らかにした.通常,通信路容量は秘匿通信路容量よりかなり大きな値となるため,多重符号化により伝送効率が大きく改善できる. 2.通信ネットワーク上で互いに情報を交換するとき,後出しなどの不正が問題となる.そのような不正を防止する基礎技術としてビットコミットメントがある.本研究では,上記1で示した盗聴通信路に対する多重符号化の手法を,ビットコミットメントに拡張した.その結果,複数の秘密情報を一度に多重符号化しコミットすることにより,個々の秘密情報を安全に保ったまま,通常のビットコミットメント容量よりも大きな情報量を一度にコミットできることを理論的に明らかにした. 3.秘密分散法は,秘密情報を複数の分散情報に分散符号化することにより,秘密情報を盗聴や破壊に対して安全に保つことができる符号化技術である.復号できる集合が分散情報の個数できまるしきい値型の秘密分散法は最適な構成法が知られているが,秘密情報を復号できる分散情報の集合と復号できない集合を任意に与える一般アクセス構造を持つ秘密分散法の構成は一般に難しい問題である.一般アクセス構造は,しきい値型秘密分散法の分散情報を多重配分することにより実現できるが,本研究では,その多重配分問題を整数計画法として定式化し,その最適な配分法を求める方法を具体的に与えた.
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