2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18656114
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川上 浩司 Kyoto University, 情報学研究科, 准教授 (90214600)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片井 修 京都大学, 情報学研究科, 教授 (50089124)
塩瀬 隆之 京都大学, 情報学研究科, 助教 (90332759)
須藤 秀紹 室蘭工業大学, 工学部, 准教授 (90352525)
半田 久志 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (60304333)
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Keywords | 不便益 / システムモデリング / システム設計 / ユーザビリティ / 風土的人工物 |
Research Abstract |
手間いらずで効率的に要求が満たせる「便利な道具や方式」よりも、むしろ不便な道具や方式の方に、能動的工夫の余地が残される・対象系の物理的理解が促進される・自己肯定感の醸成という心理的効果が得られる、などの効果がある。我々はこれらを積極的に評価する「不便益」という考え方を提唱し、この視点からの新たなシステム設計方法論の構築を試みている。2年目にあたる2007年度に得られた成果を以下にまとめる。 [不便益に関する知見の整理:川上、片井]初年度から引き続いて各種講演やOSを年に数回開催し、研究グループ内外から多くの知見を得た。その整理を通して不便益の輪郭を明らかにしつつある。 [不便益の数理究明:半田、川上]一般に「ほどよい不便さ」を計る指針は知られていない。これに対して、初年度に構想した「ネットワーク構造モデル」や「チャネル理論援用モデル」を、2年目にはいくつかの対象に適用し、不便益の一般的説明図式となる可能性を示唆した。 [不便益の応用:塩瀬、須藤、半田]不便益に関する知見をシステムデザインに適用することによって、その有効性検証を進めている。適用対象としては、情報伝達に関してweb pageのデザインや音と画像による情報伝達におけるテロップの効用分析(須藤)、コミュニティのインタフェースとして野良猫を用いるというアイデアである「猫メディア」の実践(須藤)やエージェントシミュレーションによる検証(半田)、デザインの実践として月に一度のインクルーシブデザインワークショップ(塩瀬)、などを実施した。
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