2006 Fiscal Year Annual Research Report
音響伝播特性を用いた斜面地盤の水分量センサーの開発
Project/Area Number |
18656132
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
内村 太郎 東京大学, 大学院工学系研究科, 助教授 (60292885)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東畑 郁生 東京大学, 大学院工学系研究科, 教授 (20155500)
周郷 啓一 東京大学, 大学院工学系研究科, 技術専門職員 (90396771)
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Keywords | 自然災害 / 土砂災害 / 防災 / 音波探査 / 現地試験 / 弾性波 / ベンダーエレメント / 不飽和土 |
Research Abstract |
音波の伝わり方の変化を利用して、斜面の土壌水分量を推定し、豪雨時の斜面防災に役立てる技術の開発を目的とし、不飽和土中の弾性波速度の測定実験を系統的に行った。圧電効果を利用した音波の発信・受信素子(ベンダーエレメント)を組み込んだ三軸圧縮試験装置を設計製作し、その駆動装置としてのアンプ、ファンクションジェネレータを購入し、また受信信号を増幅する計装アンプを製作して、弾性波測定が可能な試験装置を開発した。 細粒分を含む山砂で、飽和度を変えてP波、S波の伝播速度を測定した結果、自然含水比(飽和度30%程度)の状態から飽和度80%程度になるまで水分を含んだとき、P波、S波とも10〜40%程度、弾性波速度が低下するという結果が得られた。当初は、飽和に近くなると間隙水の音波速度の影響が強くなり、特にP波の速度が上昇すると予想していた。実際には、完全に飽和すればP波速度は大きく上昇するが、不飽和の状態では、水分を含んだ分だけ土の湿潤密度が上昇することなどの要因で、弾性波速度は遅くなった。弾性波速度の変化が十分大きいことから、この性質を使って土壌水分量を推定することは可能だと考えている。次年度は、さらに詳細な要素試験に加えて、模型地盤を使ったより実用に近い条件での音波測定実験を行いたい。 また、2006年2月にフィリピン・レイテ島ギンザウゴンで発生した大規模地すべり、およびその周辺での斜面災害、フィリピン・マウンテンプロビンス州の斜面災害の現場に行き、被災状況を調査するとともに、原斜面および堆積物中の音波速度を測定する弾性波探査を行った。特にギンザウゴンに大量に堆積した崩壊土砂は、水を含むことにより極端に強度が弱くなることが観察された。現地の土も持ち帰り、不飽和条件下での弾性波速度を測定し、上記と同様の結果を得た。これらの結果も、次年度に、音波の伝播速度と共にこの技術の実用化を検討する際に活用する。
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Research Products
(2 results)