Research Abstract |
試験流域として,宮城県1級河川の名取川を対象とした.既に当流域において開発されている水文モデルに水温推定モデルを付加した.水文モデルは融雪,蒸発散,表面流出,中間流出,基底流出,河川流下のサブモデルから構成されており,流量,流速を分布情報で知ることができる.水温度推定モデルは,熱収支と水温の移流拡散を考慮した.熱収支では,植生活性度をリモートセンシングから獲得し,アルベド,遮断,粗度,日照時間等のパラメータの推定に利用した.このモデルの検証には,自動設置式の温度計を河道に設置して,時間変動,日変動の再現性を確認する準備をした.積雪深については,研究代表者らの先行研究について,推定モデルが開発済みである.生息域推定の統計処理のための流域数値地図情報と生息域情報の収集を行った.流域の数値地図情報は国土数値情報から斜面高度,土地利用区分,日本植生図,水文データを名取川流域について抽出した.また,生息域情報は,名取市が2002年に行った動植物生息分布情報を中心に,国土交通省が行った河川の国勢調査資料,地元NPOが作成した特定動植物マップ(例えばホタルやメダカなど)の資料を収集し,国土数値情報の3次メッシュ地図の書式で表現するように加工した. DNA解析では,名取川とその支流である広瀬川,前川,北川等において代表的な水生生物であるコガタシマトビケラとウルマーシマトビケラを採取し,試薬によってDNAを抽出,沈殿させサンプルDNAを作成した.その後,AFLP法でDNAを断片化し,PCR反応から断片の解析を行う.電気泳動より各個体のDNA波形パターンを得た.このパターンをクラスター解析することによって各地点間の交雑度を知ることができる.この結果をダムや流域の地理情報から考察した.
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