2006 Fiscal Year Annual Research Report
先駆的実践における生活場面分析に基づいた児童養護拠点の地域展開モデル
Project/Area Number |
18656168
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小野田 泰明 東北大学, 大学院工学研究科, 教授 (00185654)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本間 敏行 宮城工業高等専門学校, 建築学科, 教授 (10125205)
徳川 直人 東北大学, 大学院情報科学研究科, 助教授 (10227572)
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Keywords | 児童養護施設 / グループホーム / 地域化 / 虐待 / 地域生活 / 小規模化 |
Research Abstract |
本研究では、児童養護拠点の地域展開を考察するため、児童養護施設が展開するグループホーム(以下、GHと略す)に着目して調査を行った。尚ここでは、GHを地域小規模児童養護施設、児童養護施設分園型自活訓練事業、自治体独自制度による分園型グループホーム、法人が独自に展開するグループホームのいずれかとした。調査はまずGHの整備状況を把握するため、全国62自治体(47都道府県、15政令指定都市)に対しアンケート調査を行った。次に各GHに対して、その実態や地域との関係に関するアンケート調査を行った。 全国には2006年8月現在、194のGHが整備されており、その数は2000年度の地域小規模児童養護施設の制度化以降、急増している。その状況は自治体により差がみられ、実施率は25%(139/549施設)である。開設を見送っていた理由として、「土地・建物取得に困難」「職員体制を整えるのに困難」が5割を超えた。また、職員体制や使用家屋の状況などに制度と実情の乖離がみられた。 GHと地域との関係では、児童の処遇上重視する関係機関に9割のGHが「教育機関」と「児童相談所」を挙げ、次いで5割前後のGHが「保健所」「医療機関」更に「児童の友達の父兄」「町内会や自治会」をあげていることが分かった。地域との付き合いにおいては、学校を重視するGHと地域主体のGH、また個人的付き合いを重視するGHと組織を重視するGHがあるという傾向が示された。更に「児童と地域との関係」や「地域からGHへの手助け」には、職員の地域参加の積極性が影響を及ぼすと推測された。職員と地域との関係の規定要因は、GH開設からの経過年数、職員の労働条件や年齢などが挙げられる。また立地環境を考えると、都市部では地方圏よりも、積極的に地域参加するGHとそうでないGHの差が顕著であることが分かった。今後はGHと地域との関係の詳細を事例的に明らかにすることが必要であると考える。
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