2006 Fiscal Year Annual Research Report
明治初期洋風建築導入過程における建築関連洋書の影響に関する研究
Project/Area Number |
18656178
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
池上 重康 北海道大学, 大学院工学研究科, 助手 (30232169)
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Keywords | 明治初期 / 洋風建築 / 建築洋書 / パターンブック / 太政官文庫 / 大蔵省 / 工学寮 / 工部大学校 |
Research Abstract |
これまで、明治初期に日本国内に持ち込まれた建築関連洋書の再整理を行なった。 1.国立公文書館旧内閣文庫所蔵の建築関連洋書の再検索と、購入移管過程を考察した。国立公文書館の所蔵資料検索システムに洋書が遡及入力されたことにより、これまで所在不明の図書を確認できた。計76部が現存していた。 2.開拓使工業局の1881年時点の蔵書目録を発見し、現存する建築関連洋書との対応を行なった。そのうち現存しない書籍については、九州大学芸術工学部所蔵の19世紀アメリカ建築書コレクション中の同一書を閲覧し、その図版の中に開拓使洋風建築意匠と同一のものをいくつか発見した。 3.工学寮ならびに工部大学校旧蔵建築関連洋書を目録より比定した。1880年までに132部がそろえられており、そのうち総合図書館に返却せずに建築図書館において管理していた34部の現存を確認した。現存図書は工部省ならびに工学寮から移管された米国出版のパターンブックのほか、英国出版の特に古典主義建築のパターンブックが多く含まれ、後者には学生が頻繁に閲覧したであろう、手垢や書き込みを多数確認できる。 4.1878年に工部省営繕局が開拓使営繕局に送った建築洋書目録に記載している図書ならびに、現存しない工学寮・工部大学校旧蔵建築洋書を大英図書館において閲覧した。前者は日本語表記による著者名と翻訳表題、出版地、出版年しか記載されていないが、その情報から原著を特定し、11冊の記載中、9冊を閲覧できた。表題からは農業書のように読み取れるが、大半は、図版を豊富に掲載した中判あるいは大判のパターンブックであった。後者はほとんどが文字の建築専門書であった。このことから関東大震災における延焼をまぬがれた図書は、建築教育に実用的に用いられていたものと推測できる。
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Research Products
(2 results)