2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18656184
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小島 聡 Tokyo Institute of Technology, 留学生センター, 准教授 (00202060)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
義家 敏正 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (20124844)
佐藤 裕樹 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (20211948)
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Keywords | 金属 / 格子欠陥 / 塑性変形 / 高応力 / 高速変形 / 点欠陥 / 面欠陥 |
Research Abstract |
本研究は金属の薄板で発見された、転位が媒介していない極めて高い特異な塑性変形現象の機構を解明することを目的として研究を遂行した。その結論としてナノクラック分裂片によるすべり機構ではなく、複数のナノ結晶層の同時回転による塑性変形機構が起きている可能性が高いことを見出し、提唱しているところである。この結論は透過型電子顕微鏡(TEM)による実験結果と分子動力学法(MD)によるシミュレーショ結果が極めて類似していることから得られた。実験、計算共に変形の初期に約10%の極めて大きな弾性変形を示し、その後、潜伏期間を経て、1回のひずみ量が数%の大きな塑性変形が階段状に複数回起こる。MDの結果はこの塑性変形は複数の結晶層が同期して回転することにより起こることを示しており、実験においてもAl-Pb合金のPb析出物の引張りにより伸長した形状がそのような変形の痕跡を残している。また付与した応力を除荷する際に点欠陥の発生が観察されることも実験、計算に共通に見られる現象である。 また本研究で得られたもう一つの大きな成果として、大きな弾性ひずみ下のアルミニウムにおいて、これまで報告されていない新たな面型の格子欠陥を発見した。これは転位が通過した後に形成され、弾性ひずみ下では安定に存在するが、引張り応力を除荷すると消失して何も痕跡を残さない。これは表面にできるスリップ・トレースとは明らかに異なり、試料内部に形成されるものである。この格子欠陥は原子が1/4<110>の格子間位置に移動して形成されるものであるため転位の移動の障害となる。従ってこの新型格子欠陥の発見は、従来の金属の材料強度の理論を少なくともアルミニウムに関しては根本的に見直さなければならないほどの大きな発見である。この成果については現在、論文を雑誌に投稿中である。
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Research Products
(6 results)