2006 Fiscal Year Annual Research Report
アルミニウムとエルビウムを共添加した二酸化チタンからの異常発光現象
Project/Area Number |
18656187
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
森永 正彦 名古屋大学, 大学院工学研究科, 教授 (50126950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯川 宏 名古屋大学, 大学院工学研究科, 助手 (50293676)
吉野 正人 名古屋大学, 大学院工学研究科, 助手 (10397466)
小笠原 一禎 関西学院大学, 理工学部, 助教授 (10283631)
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Keywords | 発光材料 / 二酸化チタン / 量子材料設計 / 分子軌道法 / 電子状態 / フォトルミネッセンス / 発光スペクトル / 吸収スペクトル |
Research Abstract |
光通信に用いられている石英系光ファイバーは、1.5μmの波長においてその損失が最も少ない。このため、波長が1.5μm近傍の発光材料の開発が急務である。本研究の目的は、エルビウム(Er)とアルミニウム(Al)を共添加したルチル(TiO_2)からの異常発光のメカニズムを解明し、ルチル系の新しい発光材料の量子材料設計を行うことにある。平成18年度の研究成果は、以下の通りである。 1.1.5μm帯の発光強度が最大となる最適組成の決定 最適組成は、8mol%Al-3mol%Er-TiO_2であり、このときフォトルミネッセンス(PL)強度は、3mol%Er-TiO_2に比べて約18倍も増加した。アルミニウム(Al)と同じ3B属の元素であるガリウム(Ga)の場合、14mol%Al-3mol%Er-TiO_2が最適組成であり、PL強度は約23倍になった。このように異常発光現象が確認された。 2.最適組成材のミクロ組織の観察と発光スペクトルの測定 8mol%Al-3mol%Er-TiO_2には、Erを固溶したルチル(TiO_2)相以外に、Er_2Ti_2O_7とEr_3Al_5O_<12>の2つの化合物相が共存していた。それぞれの化合物を合成し、そのPLスペクトルを測定した。その結果、共添加材の発光は、これら化合物からではなく、Erを固溶したルチル(TiO_2)相からのものであることが分かった。 3.Erを固溶したルチル(TiO_2)相の中の発光の局所構造モデルの作成 電荷補償の観点から、Erイオン周りの局所構造モデルを作成した。現在、平面波基底擬ポテンシャル法を用いて、モデルの構造最適化を行っている。 4.エルビウム(Er)の4f電子の多重項エネルギーの計算 相対論DV-ME法による吸収スペクトルの理論計算に着手した。
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