2006 Fiscal Year Annual Research Report
圧電セラミックスの繊維強化によるユニークな機能発現
Project/Area Number |
18656197
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
若島 健司 東京工業大学, 精密工学研究所, 教授 (70016799)
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Keywords | 複合材料 / 繊維強化 / 圧電材料 / スクリーン印刷 / PZT / アルミナ / 圧電異方性 / 捩れバイモルフ |
Research Abstract |
補助金交付申請書に記載した実施計画に沿って、まず、PZT粉末とアルミナ粉末のアクリル系バインダーによるスラリーを用い、PZTグリーンシート上にアルミナリボン列をスクリーン印刷したコンポジットグリーンシートを所定の配向角で積層し、1250℃レベルで高温焼成することにより、厚さ約300μm程度の一方向繊維強化厚膜および[+45゜/-45゜]反対称斜向積層厚膜を作製した。これらの短冊状供試体に所定の分極処理を施し、100Hz〜約2MHzの周波数帯域でアドミッタンスの周波数特性を計測することにより、複素誘電率,ヤング率、電気機械結合係数、面内圧電ひずみ定数(d_<31>、d_<32>)など、一連の物性値を評価した。その結果、PZT単体の面内等方圧電ひずみ定数(d_<31>=d_<32>【similar or equal】-125pm/V)に対し、一方向アルミナリボン強化材ではリボン軸方向でd_<31>【similar or equal】-(85〜90)pm/V、リボン軸に垂直な方向でd_<32>【similar or equal】-(105〜110)pm/Vとなり、少なくとも20pm/Vの面内圧電異方性|d_<32>-d_<31>|が発現した。また、[+45゜/-45゜]反対称斜向積層バイモルフ供試体についても印加電圧V_<p-p>=10Vで共振応答が確認できたが、計測装置の都合で捩れ角の計測には至っていない。一方、フレキシブルなポリイミド(PI)フィルム基板上でのアルミナ/PZTコンポジット圧電厚膜形成については、PZT粉末のバインダーとしてPZTの前駆体であるゾル-ゲル溶液およびMOD(Metal-Oxide Decomposition)溶液を使用した低温焼成プロセスを検討し、特にMOD溶液の使用によって500℃レベルの低温焼成でパイロクロア相の出現を抑制し、ペロブスカイト相は十分に発達した良好な構造が得られることを見いだした。さらに、PI基板と焼成厚膜との密着性はポリアミック酸中にシリカ"ナノ"粒子を分散させた有機-無機ハイブリッド溶液(荒川化学工業"コンポセラン")によるPIフィルムの表面改質が極めて効果的であることがわかった。なおこの溶液を利用した内部電極層の作製条件についても検討し、良好な結果を得た。
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