2006 Fiscal Year Annual Research Report
収束イオンビーム法を用いた数ミクロン直径無機繊維の破壊靭性評価法の開発
Project/Area Number |
18656198
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
落合 庄治郎 京都大学, 国際融合創造センター, 教授 (30111925)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥田 浩司 京都大学, 国際融合創造センター, 助教授 (50214060)
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Keywords | 細径繊維 / 破壊靱性 / 集束イオンビーム / 炭化珪素 / 有限要素法 / 人工ノッチ |
Research Abstract |
繊維強化複合材料は航空機、宇雷往還機,自動車等の部品に用いられているが、故障は機能の損失につながるだけでなく、深刻な事故を引き起こすため、安全性・信頼性の向上が不断に求められている。安全で信頼性の高い複合材料の設計・評価には、材料中で負荷応力の大半を担う繊維の破壊靱性値は特に重要である。しかし、この重要な値を直接評価する方法はなく、非晶質繊維についてのみ、破面に現れるミラーゾーンの大きさを基に,経験的に評価しているのが現状である。非晶質、結晶質を問わず、細径繊維の破壊靱性を評価できる方法の開発は急務である。本研究では、集束イオンビームで鋭い人工ノッチを導入し、有限要素法応力解析と組み合わせて数ミクロン径の細径繊維の破壊靱性を評価する方法を開発することを目的として、実験と解析を行った。本年度の主な成果は以下のように要約される。 (1)集束イオンビームにより、炭化珪素繊維に導入したノッチの先端半径は約25ナノメートルと鋭く、破面観察から本法で導入した人工ノッチから破壊が進行することを確認した。(2)繊維径は試料毎に異なるため、破壊靱性を求めるために必要な形状係数を有限要素法で求めた。このようにして得た形状係数とノッチを導入した単繊維力学試験結果から、破壊靭性値を評価した。本実験で評価した破壊靱性値はノッチ深さや繊維径に依存しないことを確認した。(3)本研究で開発した手法により、細径結晶質繊維の破壊靭性値を初めて明らかにすることができた。次年度は、本手法を、非晶質繊維、および非晶質繊維の熱処理による破壊靱性変化の評価に適用していく予定である。
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