2007 Fiscal Year Annual Research Report
Ta/Cu/Ta薄膜で発現する特異なTaキャップ効果
Project/Area Number |
18656202
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
水林 博 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (40114136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷本 久典 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 准教授 (70222122)
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Keywords | 金属配線 / 銅薄膜 / Taキャップ効果 / バッファー層 / 弾性特性 / X線開設 |
Research Abstract |
Si基板上にスパッタ法によりTaバリア層(35nm)、Cuを順次成膜したTa/Cu、更にTaキャップ(5nm)を付加したTa/Cu/Taについて、これまでCu弾性率測定、EM効果実験、X線回折実験を行い、本年度は、CuからのX線回折強度I_<Cu>異常を中心に調べた。I_<Cu>は、Ta/CuおよびTa/Cu/Ta共にCu膜厚が〜30nm以下で理論値より低い値を示し、その程度はTa/Cuの方が著しい。これは、結晶粒界層は非晶質でその厚さt_<GB>はTa/Cuでは3nmを仮定すると説明できる。Taキャップにより、Cuの膜厚方向の結晶粒径D_⊥は不変に留まるが、膜面方向の結晶粒径D_<11>は大きくなっており、Ta/Cu/Taでは結晶粒界層割合が減少していると言え、I_<Cu>がTa/CuよりTa/Cu/Taの方が大きいことは説明できる。また、Taバリア層(β-Ta)からのX線回折ピークの半値幅W_<β-Ta>はCu膜厚t_<Cu>が〜30nm以下になるとTaキャップにより広がる。10<t_<Cu><100nmでは、膜面に垂直方向のCu(111)面間距離d_<Cu111⊥>は、Ta/Cuではバルクの値から0.1〜0.3%の低下を示すが、Ta/Cu/Taではバルクの値を示す。β-Taの半値幅W_<β-Ta>およびd_<Cu111⊥>の結果は、TaキャップによるCuの膜面方向の結晶成長に起因している可能性が高い。しかし、t_<Cu><10nmではd_<Cu111⊥>がバルクの値から外れて上昇に転じ、その程度はTa/Cu/Taで著しいことは説明できない。また、t_<Cu><100nmでは、Cu弾性率が理論値から外れて低い値を示し、その程度はTa/Cu/Taで著しいことは、結晶粒界層の寄与が増大していることを示唆しており、I_<Cu>異常から推測されることとは逆である。金属ガラスの研究では、原子の集団運動の励起により、弾性率が大きく低下することが見いだされ、Cu弾性率が理論値から外れて低い値を示すことは同様な機構が結晶粒界層で働いている可能性を示唆し、今後の課題である。
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Research Products
(3 results)