2006 Fiscal Year Annual Research Report
分子メモリー機能要素としての半導体-有機分子接合界面の研究
Project/Area Number |
18656207
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉村 博之 京都大学, 工学研究科, 教授 (10293656)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
邑瀬 邦明 京都大学, 工学研究科, 助教授 (30283633)
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Keywords | 半導体 / 有機分子 / 酸化還元 / メモリー / 単分子膜 / 有機-半導体界面 / シリコン / 電気化学 |
Research Abstract |
電子集積回路の加工線幅が10nmを切るシングルナノ世代では、材料工学的微細化の限界の存在が、強く懸念されている。例えば、メモリーデバイスは、キャパシターに電荷を蓄積することで情報ビットを記録するが、キャパシターのサイズが極微化すると、金属酸化物誘電体では必要な電荷量を必要な時間保持することが困難になる。そこで、有機分子の可逆的な酸か還元反応を電荷蓄積の原理として用いる新しいメモリーデバイスを提案した。本研究では、可逆的な電気化学的酸化還元応答を示す有機金属錯体分子をその機能を保持したままシリコン表面へ接合するプロセスを確立し、さらにその接合界面の電子物性(特に、半導体バルクと有機分子間の電子移動特性)を明らかにし、Redox分子メモリー実現のためのさらなる研究指針を確定することを目的とする。 フェロセン誘導体分子をシリコン表面へ接合するプロセスについて研究を行った。反応を促進するためには、熱励起法と光励起法があるが、熱励起法ではフェロセン分子の分解を完全に防ぐことが難しいため、光励起法について検討しした。その結果、光活性化の方が接合分子の重合や分解による粒子状析出物がはるかに少ないことがわかったが、完全に粒子状析出物をなくすまでには至らなかった。シリコンと接合する官能基として、ビニル基とアルデヒド基を選択し、その差異を調べたところ、ビニル基の法が接合分子密度が高いことがわかった。 接合されたFc分子のメモリー機能(電荷蓄積・放出特性)を、その電気化学的Redox応答を計測することによって評価した。計測・評価のための各種条件を検討し、高精度で再現性の高いデータの得られる標準的計測手順を確定した。シリコン基板に接合したフェロセン分子の酸化還元特性を、過塩素酸水溶液中で測定することに成功した。シリコン基板に接合したフェロセン分子の酸化還元応答を水溶液中で精度良く測定した例は初めてである。これまでの報告例は、そのほとんどが有機溶媒中である。
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