2006 Fiscal Year Annual Research Report
ペロブスカイト型炭化物による低比重高強度ピアノ線の開発
Project/Area Number |
18656210
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石田 清仁 東北大学, 大学院工学研究科, 教授 (20151368)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
貝沼 亮介 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (20202004)
大沼 郁雄 東北大学, 大学院工学研究科, 助教授 (20250714)
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Keywords | ピアノ線 / ベロブスカイト型炭化物 / 共析変態 / パーライト / ラメラー組織 / 状態図 / Fe-Al-C系 / 熱力学計算 |
Research Abstract |
現用のピアノ線はフェライト(α)とセメンタイトの層状組織から成るパーライトをパテンティン処理によって形成した組織を有しているが、本研究はフェライト中にペロブスカイト型炭化物Fe_3AlC(κ)をラメラー状に形成させる事によって従来にない高強度ピアノ線の作製を試みる事を目的とし、本年度は次の結果が得られた。 1、α+κのラメラー組織を有するための基本系であるFe-Al-C合金の相平衡を解析するために、ベロブスカイト型炭化物を4つの副格子に分けて記述した。すなわち、第一副格子にFe、第二副格子にAl、第三副格子にC、第4副格子に空孔が入る様な格子モデルである。これにより化学量論組成より偏荷する組成を有する炭化物についても表現する事が出来た。 2、以上の熱力学モデルによってFe-Al-C3元系の相平衡め計算が出来るようになった。さらにオーステナイト(γ)からフェライトとベロブスカイト炭化物に共析変態する温度、組成を計算で予想できるようになった。 3、Fe-Al-C系の相平衡の計算を参考にして、Fe-(5〜9)%Al-(0.9〜1.6)%C合金を数種類作製し、ラメラー組織形成について調査した。その結果、Fe-8.1%Al-0.9%Cでは、700℃以下でフルラメラー組織が得られた。一方、Al量が少ないFe-5.3%Al-1.1%Cでは、700℃ではフルラメラー組織が得られたが、600℃以下の低温では不完全ラメラー組織であった。一方、Cが1.3%以上では、炭化物が極めて微細に分散した組織が得られた。 4、変態温度が低いほど、ラメラー間隔は小さく、硬さは上昇する事がわかった。
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