2006 Fiscal Year Annual Research Report
太陽光照射により防食機能を自己再生する有機コーティングの創製
Project/Area Number |
18656211
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
武藤 泉 東北大学, 大学院工学研究科, 助教授 (20400278)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 信義 東北大学, 大学院工学研究科, 教授 (40111257)
赤尾 昇 東北大学, 大学院工学研究科, 助手 (80222503)
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Keywords | 導電性高分子 / ステンレス鋼 / 大気腐食 |
Research Abstract |
1.局部腐食防止に適する導電性ポリマーの特性解明 導電性ポリマーの酸化還元電位(E1)、金属材料の不働態化電位(E2)、局部腐食発生の臨界電位(E3)の相対的な位置関係から、局部腐食防止に適用可能な導電性ポリマーの性質を一般化することを目指し研究を実施。短時間の定電位電解重合と長時間の低電流重合を組み合わせることで、ポリアニリン被覆の膜厚の再現性を高める手法を開発した。不働態化能力の異なる3種類のステンレス鋼(11Cr、18Cr、18Cr-8Ni)にポリアニリン被覆を行い、還元処理などを施すことで、酸化体および還元体で被覆された試料を作製した。これらを酸性および中性の濃度の異なる塩化物水溶液中で浸漬試験を行ったところ、中性塩化物環境ではE1<E3、酸性塩化物環境ではE2<E1<E3であることが導電性ポリマー被覆材の防食機能発現の条件であることを見出した。具体的には、ポリアニリンに関しては、酸化体よりも還元体被覆の方が防食作用が高いことを見出した。 2.大気腐食試験装置の設計・製作と耐食性評価 プログラム制御型の恒温恒湿槽を用い屋外の気温と相対湿度の日変化を忠実に再現できる気象シミュレータを作製。また、溶融AgClをエポキシ樹脂に埋め込むタイプの小型照合電極を考案し、乾湿が繰り返される大気腐食環境でのポリアニリン被覆ステンレス鋼の電位変化と耐大気腐食性を研究した。その結果、酸化体を被覆した場合には、電位が研磨肌の試料に比較し高いことと、海浜地域を模擬した塩化物イオン付着量1g/m^2の場合には、酸化体被覆により腐食が促進されることが分かった。 以上、本年度の研究から太陽光照射により再生すべき防食機能は、乾湿繰り返し時に起こる金属の電位上昇を防止することが可能な導電性ポリマー還元体であることが解明された。次年度は、太陽光照射により還元体を再生する技術を研究予定。
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