2006 Fiscal Year Annual Research Report
生命体と工学システムをソフトウェアレベルで比較する等価アルゴリズム理論の構築
Project/Area Number |
18656243
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大竹 久夫 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (10127483)
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Keywords | アルゴリズム / ソフトウェア / 生命体 / システム |
Research Abstract |
ゾウリムシの化学的刺激に対する細胞膜電位変化と膜イオン電流をホールセルクランプ法により測定した。また、イオンチャネル阻害剤を用いて、ゾウリムシに忌避物質である50mM NaClを接触させた際の膜電位変化を測定した。阻害剤を用いない場合は、前方に接触させると内向きの膜イオン電流が、後方に接触させると外向きの膜イオン電流が測定された。Ca^<2+>チャネル阻害剤を用いた場合は内向きの膜イオン電流のみが阻害され、K^+チャネル阻害剤を用いた場合は内向きの膜イオン電流が阻害された。この結果から、機械刺激応答と同様に、化学刺激応答の脱分極はCa^<2+>の流入によって、過分極はK^+の流出によって引き起こされていることが確認された。Ca^<2+>チャネル阻害剤を用いた場合、後方への接触によって引き起こされる外向きの膜イオン電流も少しながら小さくなった。これは、用いた阻害剤の濃度が一般に使われている濃度よりも高かったため、阻害剤の効果によるものではなく、阻害剤の濃度が高すぎてゾウリムシ自体に影響を与えてしまったためであると考えられる。線虫は様々な化学物質に対する走性(走化性)を示す。シクロヘキシミドは高等生物であるマウスやラットに苦みを呈する物質として知られてきた。線虫がシクロヘキシミドに対して誘引の走化性を示すことが観察された。そこで線虫がこの毒物を誘引物質として認識しているのか、その応答機構を解析した。新規に取得したシクロヘキシミドに応答しない変異株の解析によりシグナル伝達系の転写因子として知られているLIN-1がシクロヘキシミドの走化性に関与していることが示された。さらにMAPキナーゼのシグナル伝達カスケードを担う遺伝子群も関与していることが示された。シクロヘキシミドの感知においてMAPキナーゼにより活性化されたLIN-1がレセプターや二次メッセンジャーの発現量の調節に関与していると考えられる。
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