2006 Fiscal Year Annual Research Report
固有ひずみ利用による最適後熱処理条件(PWHT)の決定と省エネルギー化
Project/Area Number |
18656257
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
寺崎 俊夫 九州工業大学, 工学部, 教授 (60029329)
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Keywords | PWHT / クリープひずみ / 固有ひずみ / 溶接継手 |
Research Abstract |
溶接加工により必然的に発生する溶接残留応力は,脆性破壊や疲労破壊を引き起こす因子であり,これを低減する目的でPWHT(溶接後熱処理)が幅広く用いられている.PWHTによる残留応力低減の要因は,温度上昇に伴う降伏応力低下により発生する塑性ひずみと高温状態時に発生するクリープひずみである.すなわち,クリープひずみの発生量とPWHT条件との関係を定量的に把握することはクリープひずみ発生量の予測および最適PWHT条件の検討を行う基礎データとして必要不可欠である.しかしながら,溶接継手に生じるクリープひずみ量を直接測定する方法は確立されていないのが現状である.そこで,実験で容易に測定できる固有ひずみに注目し,PWHTによる残留応力低減について実験による検討を行った. 実験はレーザ溶接機を使用して,板厚3.2mmの高張力鋼板を板厚方向まで一様に加熱できる溶接条件でビード溶接継手を作成し,溶接されたビード溶接継手を600℃での高温保持時間を変えてPWHTした試験片を作成した.各試験片から計測された固有ひずみ分布を利用して,PWHTで生じるクリープひずみを求めた. 固有ひずみ分布測定結果より,PWHTにおける昇温過程および冷却過程ではクリープひずみは生じず,高温保持過程でのみ生じることを明らかにした.また,高温保持時間を変えることにより,生じるクリープひずみ値が変化することも分かった.以上の様に,PWHTで生じるクリープひずみの基礎データを得ることができ,基本的なクリープひずみ発生挙動の把握ができた.さらに,数値解析を用いて溶接継手に生じる固有ひずみを計算する手法を検討し,実験で得られた溶接継手に生じる固有ひずみ分布を概ね推定できた.
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Research Products
(3 results)