2006 Fiscal Year Annual Research Report
ガリウムを挿入ホストとするリチウムおよびカルシウムの同位体分離
Project/Area Number |
18656273
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
大井 隆夫 上智大学, 理工学部・化学科, 教授 (90168849)
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Keywords | ガリウム / リチウム同位体 / カルシウム同位体 / 同位体効果 / 分離係数 / 電気化学的挿入 / 酸化還元 / エチレンカーボネート |
Research Abstract |
ガリウムは室温(25℃)で固体であるため、まず固体状態のガリウムにリチウムを電気化学的に挿入し、その際のリチウム同位体効果を測定することを試みた。固体の実験を初めに行うのは、1)固体物質にリチウムイオンを挿入することには既に多くの経験があり、また今まで用いてきた装置がそのまま使用できること、2)少量のガリウムで実験することができること、である。ガリウムは高価なため、少量で同位体分離効果を確認することは極めて重要である。負極に固体ガリウム、正極および参照極に固体リチウムを用い、種々の溶媒にリチウム塩を溶解させたものを電解液とし、アルゴン雰囲気下で正極・負極間に電位をかけ電解液中のリチウムイオンをガリウム中に挿入した。挿入終了後、ガリウム電極および電解液からリチウムを抽出しその同位体比を測定した。その結果より、同位体効果の指標となる分離係数を算出した。ここで観測される同位体効果は、電解液中での形式電荷+1のリチウムとガリウム中での形式電荷0のリチウムの間での同位体効果である。その結果、軽い同位体が選択的にガリウムに挿入され、またそのときの分離係数が25℃においてほぼ1.02であることが分かった。また、電解時の電流-電圧特性がこれまで試みてきた、金属亜鉛、金属スズ、グラファイトと比較して、優れていることも分かった。さらに、電解液溶媒として、今まで使用してきたエチレンカーボネート/メチルエチルカーボネートの他にDMSOが使用できることが判明した。この結果はThe 2^<nd> COE-INES International Symposium(November,2006,Yokohama)で発表し、また専門雑誌にarticleとして投稿中である。 液体ガリウム系についても、既に研究に着手した。カルシウムについては、カルシウムが電気化学的にガリウムに取り込まれることを確認した。
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