2007 Fiscal Year Annual Research Report
ハプロディプロイド動物近交系を用いた「赤の女王仮説」の検証
Project/Area Number |
18657007
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
齋藤 裕 Hokkaido University, 大学院・農学研究院, 教授 (20142698)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 正徳 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (00205303)
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Keywords | 遺伝学 / 遺伝子 / 進化 / 生態学 / 動物 |
Research Abstract |
●ススキスゴモリハダニを複数の地域から多数採集し、それらを遺伝的多様性を維持できる大きな個体群状態で飼育した。次に、そこから未交尾メスを任意にサンプル(各個体群で5血統)して、それぞれに強い近親交配(母-息子交配による)かけ、近交系(4世代の母子交配)を3血統を確立した。 ●前年度にススキスゴモリハダニ類に寄生する菌類の探索を本州、四国、九州において行い、九州の雲仙および佐賀から採取された2個体群から病原性の菌を分離することができた。 ●確立した近親交配系5血統と、別に対照区として設定した外交配をつづけた1血統から、それぞれ約30個体のメスを抽出し、それに4-10卵を産卵させて、そこに雲仙で採集された病原菌を散布した。以後、これらの卵の発育および孵化個体の発育を10日間にわたり25℃、湿度50-60%r.h.で飼育して生存率を詳しく検討した。その結果、外交系の菌による死亡率が12%であったのに対し、近交系では26%、21%,41%となり、いずれも近交系において罹病率が高いという傾向を示した。これは当初の仮説を支持する結果、すなわち近親交配を続けることが病気に対する耐性を失う傾向をもつことを示している。しかし、確立できた近親交配系が少なかったこともあって、統計的な検定に十分耐えるデータとは言えない。それでも、今後さらに多くの近親交配血統を作って同じ実験を行えば、仮説検証が可能であるという強い感触を得た。また、このハダニの有害菌繁殖防止効果をもつ糞の処理行動に関して論文を公表するという大きな成果があった。
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Research Products
(1 results)