2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18657010
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮下 英明 京都大学, 地球環境学堂, 助教授 (50323746)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 樹 京都大学, 地球環境学堂, 助教授 (10231408)
幡野 恭子 京都大学, 人間環境学研究科, 助手 (90208520)
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Keywords | 微生物 / 土壌 / 分子微生物生態学 |
Research Abstract |
平成18年度は、数の"監藻"によって形成されている日本固有の特殊な微生物塊と考えられている微生物群集を、環境大臣の許可に基づいて採取するとともに、土壌環境調査を行った。また採取したサンプルについては、顕微鏡観察を行い、約90年前の微生物塊に関する報告内容と、現存する微生物塊の状況について比較し、微生物叢の状況(同じ物、同じ状態であるか)について検討した。さらに遺伝子抽出法の検討を行った。 その結果、1)微生物塊のpHは、5.2-5.4であり、既報のデータと一致した、2)光学顕微鏡観察においては、川村(1915)やMolish(1925)が報告したスケッチにと同様の微生物が確認された。これらのことから、日本固有の微生物塊として報告された約90年前の微生物叢と現存する微生物叢に特筆すべき変化が見られないことが確認された。3)蛍光顕微鏡観察によって、クロロフィルの自家蛍光が観察されないことから、この微生物塊においては、クロロフィルを含む生物が存在しないことを確認した、4)産地周辺には、水路や地下水の湧出等が見られず有機物供給が無いと推定された、5)深さ約40cmの土壌断面には3-6層の土色の異なる層が確認された、7)各層の顕微鏡観察では、これらの土壌様層が細菌と花崗岩粒子で構成されていた。これまで、微生物塊の下層の状態についての報告はなく、これらの下層が、微生物塊の増殖に重要な役割をしていることが推定された。試験的なPCR-DGGE解析では、既報のrDNA配列(環境DNAを含む)と比較しても相同性が90%以下の配列が複数得られたことから、この微生物群集が特異な物であることが示唆された。課題としては、細胞外多糖が多いため、DNA抽出効率が悪く、DNAの抽出・精製法を検討することが必要であることがわかった。
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