2006 Fiscal Year Annual Research Report
小葉類葉緑体ゲノムにおけるRNAエディティングの全体像とその生物情報学的解析
Project/Area Number |
18657016
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山口 和男 金沢大学, 学際科学実験センター, 教授 (00019879)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西山 智明 金沢大学, 学際科学実験センター, 助手 (50390688)
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Keywords | 植物 / 進化 / RNA編集 / 葉緑体 / オルガネラ |
Research Abstract |
(1)ダイレクトシーケンシング法によるRNA編集部位の固定 1.これまでに注釈付けを終えたタンパク質コード領域5'3'非翻訳領域、オペロンの遺伝子間領域及び偽遺伝子と推定された領域についてそのcDNAを作製し、その塩基配列を決定した結果、3415カ所(5.1%)でC→Lの編集が検出された。これは5個のC塩基の内、1個はUに変換されることを意味している。またRNA編集の大部分はタンパク質コード領域内で見られ、偽遺伝子ではほとんど見られなかった。特にrpoAでは、ほかの陸上植物rpoAと比べて、5'側から約2/3終止コードが入り、その場所は編集を受けていないが、その領域までは46カ所(4.5%)でRNA編集が起こるのに対して、3'非翻訳領域と化した残り1/3(288塩基)では全く編集は起きていなかった。 2.RNAをコードしている遺伝子については、これまでに16S、23SrRNA及びAsp-tRNA、His-1RNA、Trp-tRNAの前躯体を得たが、RNA編集は見られなかった。 (2)クローン解析によるRNA編集の「ゆらぎ」 psaAなど7遺伝子について、それぞれ10〜15クローンのcDNA配列を決定し、各編集部位における編集効率や、ダイレクトシーケンシング法では検出できなかった低効率のRNA編集部位の検出を試みた。その結果、既知の430編集部位のうち、編集により翻訳されるアミノ酸が陸上植物間で広く保存されたものに変換される部位の多くはほぼ100%編集されるのに対して、コドンの第3塩基のようにアミノ酸変換を伴わない部位の多くは編集効率が低(〜50%)かった。一方で、ダイレクトシーケンシング法では検出できなかった99部位で新たなRNA編集が検出され、編集効率の10〜50%と部位により大きな差が見られた。それらは全てC→Uタイプで、このような低効率の編集部位の多くはアミノ酸変換を伴わないものであった。以上のように、この生物種でのRNA編集の効率は部位により大きく異なり、それを我々は、RNA編集の「ゆらぎ」と呼び、RNA編集の分子機構を考える上で重要な意味があると考えている。 (3)RNA編集部位の特徴付け 編集部位周辺の一次配列について情報学的な解析を行っているが、これまでに特徴的な配列モチーフは見出だされていない。現在、更に自己組織化マップ法を取り入れた解析を行っている。
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Research Products
(5 results)