2006 Fiscal Year Annual Research Report
レーザーアブレーション法によるシダ植物配偶体を用いた植物ボディプランの解析
Project/Area Number |
18657024
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
今市 涼子 日本女子大学, 理学部, 教授 (60112752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津島 美穂 日本女子大学, 理学部, 助手 (60287810)
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Keywords | シダ植物 / 配偶体 / 幹細胞 / レーザーアブレーション / 頂端細胞 / 頂端分裂組織 / 周縁分裂組織 / ボデプラン |
Research Abstract |
カニクサの心臓形配偶体は、胞子発芽後、二次元配偶体の先端に1個の頂端細胞が形成され、しばらくは本頂端細胞が左右に派生細胞を切り出すことによって成長を行う(頂端細胞期)。やがて頂端細胞は並層分裂を行う事によって消失し、複数の始原細胞から構成される頂端分裂組織(始原細胞複数期)が作られる。頂端細胞期の頂端細胞と、頂端分裂組織の始原細胞をレーザーアブレーション法によって破壊した。頂端細胞を破壊すると、近隣に新しい頂端細胞が必ず生じ、ここから新たな配偶体の成長がみられた。さらに複数始原細胞期にある頂端分裂組織の中央に位置する2細胞を破壊すると、やはり近隣に新しい始原細胞複数期の頂端分裂組織が形成された。しかし中央の2細胞のうち1細胞を破壊しても新しい頂端分裂組織は形成されなかった。以上から、頂端細胞期の頂端細胞は1個の幹細胞として働き、複数始原細胞期では中央の2細胞が幹細胞として働く事が明らかになった。一方、リボン形配偶体において、初期に形成される頂端細胞をレーザーアブレーションにより破壊すると、複数箇所に存在していた三角形の細胞が同時に、頂端細胞のようにふるまい2、3回分裂するが、その後頂端分裂組織の形成までにはいたらず、その近隣に周縁分裂組織を形成した。その後も頂端分裂組織が形成されることはなく、周縁分裂組織のみの働きによって配偶体は全体的に成長し、不定形を示すようになった。以上から、心臓形配偶体では頂端細胞は極性の頂点としての十分な働きをもつが、リボン形では配偶体の中に作られている極性が弱いため、頂端細胞が破壊された場合、新たな頂端細胞を形成する事ができないものと考えられる。
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