2006 Fiscal Year Annual Research Report
糖鎖脱離の生物学-N型遊離糖鎖の生成、分解機構とその生理機能の解明に向けて
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18657034
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鈴木 匡 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教授(常勤) (90345265)
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Keywords | PNGase / 遊離糖鎖 / ENGase / 糖鎖代謝 / マンノシダーゼ |
Research Abstract |
糖タンパク質のアスパラギン(N)型糖鎖の付加は、真核細胞においてはもっとも普遍的な翻訳後修飾機構の一つであり、タンパク質の安定性や可溶性といった物理化学的性質を制御しうる上に、最近ではたんぱく質の生理活性や細胞内局在性も規定しうることが分ってきている。糖鎖の生合成についてはこの20年あまりの間に爆発的な進歩をとげ、そのほとんどの分子機構が解明したといってもいいのに対し、糖鎖がどのように代謝されるかについては哺乳動物においても分子機構が明らかにはなっていない。特に我々が見出した細胞質の脱糖鎖酵素、PNGaseが脱離する細胞質糖鎖の代謝については、どのように代謝されるのか全く不明である。我々はこれまでPNGase、およびPNGaseが糖鎖を脱離した後に働く酵素(ENGase)の遺伝子の同定を行ってきたが、本年度は細胞質遊離代謝に関わる第3の酵素、マンノシダーゼの遺伝子を同定し、それがこれまで小胞体の酵素といわれてきたMan2C1と同一であることを明らかにした(Suzuki, T., et al.(2006)Biochem.J.400,33-41)。また、逆相HPLCを用いて遊離の糖鎖を、特に還元末端の構造のわずかな違いから効率よく分離する系を確立した(T.Suzuki, et al.発表準備中)。また、細胞質に存在し、やはり遊離の糖鎖代謝に関わることが予想される酵素、キトビアーゼのアッセイ系を確立するための基質を作成し(横浜市立大学、梶原康宏助教授との共同研究)、現在条件検討を開始している。
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