2007 Fiscal Year Annual Research Report
糖鎖脱離の生物学-N型遊離糖鎖の生成、分解機構とその生理機能の解明に向けて
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18657034
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
鈴木 匡 The Institute of Physical and Chemical Research, 糖鎖代謝学研究チーム, チームリーダー (90345265)
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Keywords | PNGase / ENGase / マンノシダーゼ / 細胞質 / 遊離糖鎖 / 複合型糖鎖 / がん細胞 |
Research Abstract |
糖タンパク質のアスパラギン(N)型糖鎖の生合成についてはこの20年あまりの間に爆発的な進歩をとげ、そのほとんどの分子機構が解明したといってもいいのに対し、糖鎖がどのように代謝されるかについては哺乳動物においても分子機構が明らかにはなっていない。我々はこれまで、PNGase依存的な、高マンノース型遊離N型糖鎖代謝の系に関わる2つのグリコシダーゼ、ENGaseとMan2Clについてその遺伝子を同定してきた。今年度は、これらとは別のタイプの遊離糖鎖である、複合型糖鎖がある種のがん細胞の細胞質に蓄積していることを明らかにした(近畿大学薬学部、掛樋一晃教授との共同研究)。また、この細胞質蓄積のシアリル化複合型糖鎖の代謝において、細胞質シアリダーゼであるNeu2がその代謝に関わりうることを明らかにした(石塚ら、投稿中)。これらの結果は、我々の見出した高マンノース型糖鎖の代謝機構とは別の、複合型遊離糖鎖に対する非リソソーム糖鎖の代謝機構が存在することを意味している。また、ENGaseに関してはKOマウスを作成した。このマウスはホモ変異によって致死ではなかったが、この系を用いて細胞質遊離糖鎖の機構の更なる詳細な解析と生理機能の解析が可能となった。また前年度より開発中であった、遊離糖鎖の還元末端の構造に着目した糖鎖の微量分離解析法を確立し、現在論文を執筆中である(鈴木ら、投稿準備中)。更に現在糖鎖を細胞内に打ち込んで、細胞における影響をタイムラプスで解析する系を確立し、今後遊離糖鎖の新しい代謝機構の発見と解析の系を立ち上げることが出来た。
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