2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18657044
|
Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
多賀谷 光男 Tokyo University of Pharmacy and Life Science, 生命科学部, 教授 (30179569)
|
Keywords | 小胞体 / アポトーシス / Bap31 / 小胞輸送 / ERAD |
Research Abstract |
タンパク質の中には、細胞周期、外部からの刺激等に応じてその機能を変換させるタンパク質が存在する。Bap31は膜を3回貫通するタンパク質であり、アポトーシスに関与する以外に、小胞体からのタンパク質輸送に関与するデュアル機能タンパク質である。昨年度の研究でBap31が小胞体内を循環していることを示し、ER関連分解(ERAD)に関与している可能性を示唆する結果を得た。本年度はBap31に関して以下のことを明らかにした。 1)Bap31のホモログであるBap29は小胞体内を循環しないので、Bap31とBap29のキメラを用いて、循環に必要な領域を同定した。その結果、小胞体周辺部から核近傍への移動には第三膜貫通領域および第一と第二膜貫通領域の間のループ領域が、核近傍から周辺部への移動には第二膜貫通領域が重要であることが判明した。 2)Bap31の核近傍への移動は低分子量GTPaseであるArf1に依存していることを明らかにした。Arf1は、小胞体-ゴルジ体間の小胞輸送の調節因子であり、それゆえBap31の小胞体内の循環は小胞輸送とも密接に関連していることが考えられる。 3)アポトーシスを誘導する切断物(p20)は野生型と同様に循環し、循環とアポトーシスの誘導には関連がないことが示された。 4)Bap31とERADの関連を調べるために、まずERADに関与するタンパク質とBap31の結合を調べたところ、ERAD基質であるCD3δ、ユビキチンリガーゼ(E3)であるgp78やHrd1と結合することが判明した。また、Bap31の変異体の発現によってCD3δの分解が促進されることがわかった。今後は、Bap31の発現抑制によるCD3δの分解速度の変化やBap31のDerlin(小胞体からサイトゾルへERAD基質を輸送するためのチャネル)との関連について解析を進める予定である。
|