2006 Fiscal Year Annual Research Report
mRNA様non-codingRNAにおけるポリ(A)鎖の意義及びその機能解析
Project/Area Number |
18657045
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
船越 祐司 独立行政法人理化学研究所, 辻本細胞生化学研究室基礎科学, 特別研究員 (30415286)
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Keywords | non-coding RNA / poly(A)鎖 / poly(A)鎖分解酵素 / 翻訳 / テロメアーゼRNA / TLC1 |
Research Abstract |
mRNA様non-codingRNA(ncRNA)とは、蛋白質をコードしないncRNAでありながら、poly(A)鎖やキャップ様の構造をもつなど、mRNAと類似した構造をもつというユニークなRNA分子であり、RNA自身が機能性の分子として働く。本研究では、その一つとしてテロメアーゼRNAに着目し、構造上の特徴であるpoly(A)鎖の役割、分解制御機構について出芽酵母を用いて解析を行い、以下の知見を得た。 (1)酵母テロメアーゼRNA(TLC1)はpoly(A)型の前駆体からpoly(A)をもたないTLC1 RNAへと成熟化すると想定されている。そこで、TLC1 RNAのpoly(A)鎖分解酵素を同定するため、酵母における2種のmRNAのpoly(A)鎖分解酵素、PAN複合体、Ccr4-Pop2の遺伝子破壊株を作製し、TLC1 RNAの動態を解析したところ、分解抑制による、poly(A)型TLCIRNAの蓄積が認められた。 (2)mRNAにおいては、mRNA分解と翻訳は密接に関連している。TLCIRNA上には短いながらも翻訳領域となりうる配列が存在することから、翻訳とTLCIRNAの安定性との関連性を翻訳阻害剤を添加することで検討した。その結果、翻訳の抑制によりpoly(A)型TLCIRNAの安定化が認められた。 これらの結果より、TLC1は、翻訳(リボソームが通過するという意味まで含めた)されることでPAN、およびCcr4-Pop2によりpoly(A)鎖が分解され、成熟型TLC1 RNAへと変換していくことが示唆される。
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