2007 Fiscal Year Annual Research Report
バイオサーファクタントを用いたナノ遺伝子ベクターの開発
Project/Area Number |
18657049
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
中西 守 Aichi Gakuin University, 薬学部, 教授 (90090472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古野 忠秀 愛知学院大学, 薬学部, 准教授 (80254308)
平嶋 尚英 名古屋市立大学, 薬学研究科, 教授 (10192296)
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Keywords | 遺伝子導入 / 正電荷リポソーム / ナノバイオデリバリー / ベクター / 遺伝子治療 / バイオサーファクタント / ES細胞 / 再生医療 |
Research Abstract |
安全性が高く効率的な遺伝子ベクターによるナノデリバリーシステムの開発は、遺伝子治療や再生医療の推進の基盤になる重要な研究テーマである。本研究では、正電荷コレステロールを素材とした非ウイルスベクター(正電荷リポソーム)の開発と推進を中心にナノデリバリーシステムの独創的な構築と開発に取り組んだ。その第一歩として、コレステロール骨格の側鎖末端に水酸基を持った誘導体の開発に成功し、非ウイルスベクターとして画期的な遺伝子導入効率を示すことを明らかにした。また、これら非ウイルスベクターにバイオサーファクトン(MEL-A)を添加すると、さらなる遺伝子導入効率を示すことを明らかにした。そこで、レーザ顕微光学技術を駆使して、標的細胞への遺伝子導入の分子メカニズムを追究した。その結果、バイオサーファクタントMEL-A包摂正電荷リポソームは、標的細胞膜上では細胞膜と非ウイルスベクターの膜融合を促進し、細胞質内ではバイオサーファクタント(MEL-A)が細胞内膜系との膜融合を促進させつつ、効率よくDNAを標的細胞の核内に輸送することを明らかにした。開発の新技術は安全性が高く、遺伝子導入効率においても既存の非ウイルスベクターを大きく凌駕しており、ナノバイオ医療の推進・進展に大きく寄与すると判断された。また、再生医療の基盤技術へとしての展開を行うために、ES細胞の神経細部への分化誘導にも利用することを試みた。その結果、マウスES細胞を効率よく神経細部へ分化する際にも本技術が利用できることが明らかになった。今後は、このナノ遺伝子ベクターの先端医療(遺伝子治療、再生医療)へのいっそうの推進・展開と同時に、ナノ遺伝子ベクターの遺伝子導入の分子機構の解明し、卓越したナノ遺伝子ベクターの開発に結び付けていきたいと考えている。
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