2006 Fiscal Year Annual Research Report
マダガスカル南西部乾燥地帯における焼畑耕作と住民の生存戦略
Project/Area Number |
18657079
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
安高 雄治 関西学院大学, 総合政策学部, 助教授 (50336187)
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Keywords | 焼畑耕作 / 乾燥地 / キャッサバ / 牧畜 / 救荒食物 / 生存戦略 / マダガスカル |
Research Abstract |
研究初年度である2006年度は、研究計画通り(1)調査地の選定及び基礎的情報収集・本調査準備、(2)衛星画像データ入手を行った。 まず、調査地の選定においては既存の情報だけでは不十分であったため、マダガスカル南西部乾燥地域に位置するツィマナンペツユツァ湖・厳正自然保護区の北西部に焦点を絞り、特に焼畑耕作に関する観察・聞き取り調査を行った。その結果、(1)住民の一部が違法である焼畑耕作を行っており、さらに、(2)厳正自然保護区に隣接していることから保護区内での資源利用制限の影響を強く受けていると考えられるマルフィジェリ地域のサブクラン・テチハイ(Tetsihay)を調査対象に選定した。各戸訪問による悉皆調査の結果、対象は29世帯,人口186人(男性78人,女性108人)であり、主な生業活動は農耕及び牧畜であるが、小規模ながら漁撈活動も行っていた。 調査対象地における年降水量は200-400mm程度であり、降雨は11月下旬から3月中旬くらいまでの時期に限られることから、人々の生業活動は降雨パターンに大きく規制されていた。主要作物であるキャッサバ・サツマイモ・マメ類・トウモロコシなどは11月から1月にかけての降雨開始時期前後に植え付けされ、降雨終了時期の4月前後もしくは乾季の6〜8月に収穫される。主食であるイモ類は長期保存が困難なことから、収穫直後に天日で乾燥させることで次の収穫までの長期にわたる安定的な食糧供給を可能にしていた。ただし、降雨パターンには年変動が大きく、ほとんど雨の降らない年には食糧の絶対量が明らかに不足するため、(1)ウシ・ヤギ・ヒツジ等の家畜を交換財・換金財として比較的食糧の豊かな内陸部まで食料調達に出る世帯がある一方で、(2)十分な家畜を持たない世帯の場合は野生のイモ類やマメ類等の救荒食物を探すことで一時的に空腹を満たしており、生存戦略に大きな世帯間差があることも明らかとなった。
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