2007 Fiscal Year Annual Research Report
葉緑体及びミトコンドリアの遺伝子組換え植物作出の試み
Project/Area Number |
18658003
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
寺地 徹 Kyoto Sangyo University, 工学部, 教授 (90202192)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岸 博 京都産業大学, 工学部, 教授 (10210345)
黒坂 光 京都産業大学, 工学部, 教授 (90186536)
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Keywords | 葉緑体 / 遺伝子組換え / ストレス耐性 / アスコルベートーグルタチオン回路 / apx / mdar / dhar / ミトコンドリア |
Research Abstract |
本研究は、オルガネラの遺伝子組換えにより、有用植物を作出することを目的としている。そのため、実験のモデル植物であるタバコを用い、葉緑体及びミトコンドリアの遺伝子組換えに関する基礎的実験を行なった。具体的には、葉緑体における活性酸素消去の主要な経路である、アスコルベート-グルタチオン回路で働く各酵素の遺伝子、すなわちapx、 dhar、 mdar、 gr及びsodを、単独もしくは一部オペロンとして葉緑体ゲノムへ導入した。その結果、目的とする遺伝子を持つ組換えタバコを複数得ることができ、これらについては自殖により世代更新した。また、後代が得られた組換え体について、メチルビオロゲン処理や強光などのストレスへの耐性を調べたところ、いずれも野生型と比べて強くなっており、ストレス耐性植物育成に関する葉緑体の遺伝子組換えの有用性を示すことができた。一方、葉緑体への導入遺伝子から、生物活性を示す産物を大量に調製する可能性を検討するため、血液凝固阻害タンパク質(ヒルジン)の遺伝子を葉緑体に持つタバコの後代を用い実験を進めたが、この組換え体では導入遺伝子の転写は確認されたものの翻訳産物が認められなかった。今後、葉緑体における翻訳機構のさらなる研究を進める。ミトコンドリアの遺伝子組換えについては、大きな進展はみられなかったが、以前に作出したGFP標識されたミトコンドリアを持つ組換えタバコ(核遺伝子の組換え体)から、ミトコンドリアを調製した。顕微鏡観察の結果、単離ミトコンドリアも「光る」ことが確認され、実験のツールとして有用と思われた。今後、単離ミトコンドリアへの遺伝子導入法を検討する。
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Research Products
(12 results)