2008 Fiscal Year Annual Research Report
AE法を利用した作物の水ストレスのリアルタイムモニタリング法の開発と灌漑への応用
Project/Area Number |
18658004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森田 茂紀 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (00143404)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 英樹 山口大学, 農学部, 助教 (90346578)
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Keywords | AE / 潅水制御 / 気孔コンダクタンス / 乾燥ストレス / 水ポテンシャル / 吸水 / 根系 |
Research Abstract |
本研究では,作物栽培において限られた水資源の利用効率を高めるための方策として,アコーステイックエミッション(AE)を利用して植物体の水分状態や水利用状態を感知するシステムを作ることを目的とした.AEとは可聴域以上の超音波であり,植物では木部に張力(負圧)が働いて木部内の水柱が途切れる,つまりキャビテーションが生じるときにAEパルスが発生する.本年は,サトウキビやトマト,ブドウを用いて,気孔の挙動とAEパルスの発生パターンとの関連性を検討した.具体的には,午前中は水欠乏が生じず,午後から水欠乏によって気孔が閉鎖する状態で,一日の気孔コンダクタンスとAEの発生を観察した.その結果,土壌に吸水可能な水が十分あるときにはAEは発生しなかった.そして,やや土壌乾燥が進むと,まずAEが発生し,その30分後前後から気孔が閉鎖した.気孔が閉鎖している間はAEの発生頻度が低下し,葉の水ポテンシャル(葉の脱水程度の指標)は大きくは低下しなかった.次に,土壌病によって吸水力が低下したトマトを用いて上記の観察を行ったところ,上述した気孔の挙動とAEの発生の関係がより明確に観察できた.以上のことから,AEは気孔が閉鎖する前の微小な水欠乏,言い換えれば木部の微小な張力によって発生することが明らかとなった.また,気孔が閉鎖している間は張力が緩和されてAEの発生が抑制すると予想された.以上の傾向は,いずれの植物種でも観察されたため,AEと気孔開度との間には植物種を問わない普遍的な関係があると考えられる.このようなAEと気孔閉鎖との関係を利用して,AEの発生を潅水開始のキューとする潅水制御システムが可能である.
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Research Products
(1 results)