2007 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙における植物庭園実現化に関する造園学的基礎研究
Project/Area Number |
18658014
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Research Institution | Kyoto City University of Arts |
Principal Investigator |
松井 紫朗 Kyoto City University of Arts, 美術学部, 准教授 (60275188)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森本 幸裕 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (40141501)
谷垣 文章 宇宙航空研究開発機構, 有人宇宙環境利用プログラムグループ企画推進室, 主任 (80399550)
井上 明彦 京都市立芸術大学, 美術学部, 准教授 (30232523)
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Keywords | 国際宇宙ステーション / 植物 |
Research Abstract |
19年度は、昨年度新たに入手した「ハイメック」(溶液と植物を特殊なフィルム「ハイドロメンブラン」で隔離して栽培するシステム)を用い、半閉鎖式植物育成技術の確立を目指した。また、水や光、宇宙飛行士の時間、搭載ボリュームなどさまざまな現実的なリソースの観点から、ISSでの「宇宙庭園」実現のためのシナリオ作成の検討にはいった。 ・ハイメックによる半閉鎖式植物育成技術の確立 「きぼう」内の明かり、最大照度1000ルックスという条件にあわせ、宇宙庭園を構成すると予想される栽培種、野生種をハイメックを用いて育成し、発芽率、観賞性といった観点から適合性検証実験を行った。また、この過程で、発芽までの種子の固定、発芽からハイメックに着床するまでの発芽床としての条件、植物の生育にあわせた水分の補給などの要求を満たし、最終的に宇宙庭園を構成する「ハイメックユニット」の構造の開発も行うこととした。結果、栽培種に関してはレモンバームなどのハーブ類が、野生種に関しては、休眠を覚ますための冷蔵保存、発芽率など不利な点があるものの、オニタビラコ、カタバミなどが有力な候補として挙げられる。「ハイメックユニット」の開発に関しては、ハイメック、不織布、マルチの3層構造が有効と判断した。これにより、切れ目を入れた不織布にアラビアガムで種子を挟み込むように固定することができ、また、発芽から根のハイメック膜への着床までの約2週間という期間の保湿も可能となり、その後の安定した生育が期待できる。 ・「宇宙庭園」作庭シナリオの検討 これらの実験結果をもとに、2008年1月ヒューストンNASA施設、およびJAXAオフィスを訪問し、安全審査基準、宇宙飛行士の時間および搭載のリソース、宇宙飛行士の経験といった観点から、実験で得たデータと作庭シナリオの検討を行った。結果、安全基準を満たす為には、新たにハイメックユニットを保管するケースが必要であることが明らかになった。また、リソースの割り出しのための、必要な水分、植物の種類と種の数の特定など、シナリオ作成と平行して、実施用の機材と素材を使った実験データの集積という今後の方針が明らかになった。
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