2006 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫ウイルス粒子に含まれるゲノム以外の核酸とその運び屋の探索
Project/Area Number |
18658022
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
姜 媛瓊 独立行政法人理化学研究所, 松本分子昆虫学研究室, 先任研究員 (30291917)
|
Keywords | バキュロウイルス / BmNPV / ウイルス粒子 |
Research Abstract |
主にチョウ目昆虫を宿主とするバキュロウイルスは、宿主の腸管より侵入し、数日中に殆どすべての細胞に感染し、驚異的な速さで増殖を成し遂げる。また、環状のDNAをゲノムとして持つバキュロウイルスは、宿主細胞自身のゲノム複製や遺伝子発現が厳しく制御されている核内で増殖するが、その感染機構の詳細は未解明なままである。本研究では、バキュロウイルスが行う宿主制御機構の一端を調べるため、ウイルス粒子に注目した解析を行う。具体的には、カイコ(Bombyx mori)を宿主とするカイコ核多角体病ウイルス(BmNPV)を用いて、バキュロウイルス粒子にゲノムDNA以外の核酸であるRNAが含まれるかを検討し、その遺伝子がウイルス由来か宿主由来かを明らかにする。今年度は、当初の計画に沿って、以下のような解析を行った。まず、BmNPVがコードすると推定される136個の遺伝子断片を準備するため、136個の遺伝子それぞれに特異的なプライマーを設計し、BmNPVのゲノムDNAを鋳型として、PCR法を行った。増幅産物が得られなかったものに関しては、PCRの条件を再検討し、最終的に136個遺伝子すべてを増幅することができた。同時に、BmNPV粒子よりRNAの抽出を試みた。そのため、BmNPVをBmN細胞(カイコ由来の培養細胞)に感染させ、多量のウイルス粒子を単離した。次に、ウイルス粒子にRNase I処理を行い、粒子表面に混在しているだけのRNAを除去した。その後、proteaseを処理により、RNaseの活性を不活化させ、RNA抽出に用いた。しかし、RNAが抽出できたかどうかを確認できなかった。得られたRNAの量が少ない、または、ウイルス粒子にはRNAが含まれていない、などの可能性が考えられるので、用いるウイルス量を増やし、再度RNA抽出を行う予定である。
|