2006 Fiscal Year Annual Research Report
イネの窒素利用効率の向上に向けてー秋田63号の高い窒素利用効率の要因解析ー
Project/Area Number |
18658025
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
前 忠彦 東北大学, 大学院農学研究科, 教授 (60134029)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 雄二 東北大学, 大学院農学研究科, 助手 (80374974)
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Keywords | 多収穫 / 秋田63号 / 窒素利用効率 / イネ / 収穫物指数 |
Research Abstract |
秋田63号が、従来からの日本記録に迫る9t/haの収量を少ない施肥窒素量の下で2年続けて記録した。そしてその要因は、(1)単位吸収窒素量当たりのシンク容量が従来品種に較べ格段と大きいこと、そして、(2)乾物の穂への分配率が高く、収穫物指数が大きいことにあることを明らかにした。 本研究では、高い収穫物指数を示した要因を探ることとした。その一因として、秋田63号の籾(種子)のシンク能が一般品種よりも高いということが考えられるため、これを評価することとした。指標は、炭素の主要な転流形態であるショ糖の輸送を担うショ糖トランスポーター(SUT)およびデンプン合成の鍵酵素であるAGPグルコースピロボスホリラーゼ(AGPase)の種子におけるmRNA量とし、これを登熟初期から完熟後期まで経時的に測定した。対照品種として、トヨニシキを用いた。秋田63号の種子におけるSUT mRNAの単位新鮮重当たりの量は、登熟前期に最大となり、以降登熟後期に最大時の117となるまで徐々に低下した。SUTのmRNA量には、単位新鮮重当たりでは秋田63号とトヨニシキとの問で著しい違いは認められなかった。秋田63号の種子におけるAGPase mRNAの単位新鮮重当たりの量は、登熟初期には極めて低かったが、その直後に急激に増加し最大となり、以降完熟期に最大時の1/2となるまで徐々に低下した。AGPaseのmRNA量には、単位新鮮重当たりでは秋田63号とトヨニシキとの間で著しい違いは認められなかった。以上のことから、秋田63号の種子のシンク能は単位新鮮重当たりでは対照品種と同程度であるが、その種子が大粒であるため、一粒当たりで見た場合には一般品種よりも高くなるということが示唆された。
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