2006 Fiscal Year Annual Research Report
環境修復植物の根フェントン反応によるメタン、農薬、環境ホルモン類の高効率分解
Project/Area Number |
18658026
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
我妻 忠雄 山形大学, 農学部, 教授 (70007079)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 敏 独立行政法人大学評価・学位授与機構, その他・教授 (90011915)
大谷 卓 独立行政法文農業環境技術研究所, その他・研究リーダー (80354025)
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Keywords | 環境修復 / 湿生植物 / 根フェントン反応 / 農薬分解 / メタン分解 |
Research Abstract |
(1)湿生植物タウコギによるメタン分解 湛水ポット土壌中のメタン濃度は、各種湿生植物の中でヨシ、タウコギ植生によって大幅に低下し、イネ植生区よりも著しかった。土壌メタン濃度低下能の主因は、ヨシでは地上部からのメタン放出能であるのに対して、タウコギは根の強い酸化能であった。各種金属イオンと過酸化水素(H_2O_2)の共存するin vitroでの溶液溶存メタンの分解は、2価鉄イオン(Fe^<2+>)区で顕著であり、これは安息香酸やマニトール存在下で打ち消された。以上から、メタンはフェントン反応で産生する水酸ラジカル(・OH)によって分解される事が確認された。次に、タウコギ水耕苗を用い、メタン溶存溶液中メタンの分解を各種金属イオン共存条件で調べた結果、Fe^<2+>存在下で顕著な分解が認められた。そこで、タウコギ根に含まれるH_2O_2を調べた結果、アポプラスト中に高濃度認められた。結局、タウコギ根アポプラスト中の高濃度H_2O_2と、還元土壌中へ高濃度に溶出するFe^<2+>とのフェントン反応によって産生する・OHが根圏メタンを分解する事が明らかとなった。 (2)タウコギによるアトラジン分解 GC/MSにより、水耕苗タウコギはFe^<2+>共存条件でアトラジンをイネに比べて明らかに多量に分解できる事がわかった。分解産物の同定も行っている。 (3)各種植物根のH_2O_2産生能 根フェントン反応には高いH_2O_2産生能が必須要件である。そこで、アガロースゲル培地に放出されるH_2O_2をKI-デンプン法で検出した。その結果、幼植物、成長植物、根端、根基部からタウコギのみならず、各種の非湿生植物が多量のH_2O_2を放出する事がわかった。以上から、畑作物にも根フェントン反応を起こす要件を有する植物の存在することがわかった。 (4)各種植物のFe^<3+>還元能 鉄欠除前培養によって植物のFe^<3+>還元能が増大し、各種非湿生キク科植物で著しかった。以上から、畑作物の中には適当な鉄源があればFe^<2+>を生成できるものがある可能性が考えられると示唆された。
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