2006 Fiscal Year Annual Research Report
微生物機能の高度化によるランチビオティック工学の創製
Project/Area Number |
18658034
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
園元 謙二 九州大学, 大学院農学研究院, 教授 (10154717)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 二郎 九州大学, 大学院農学研究院, 助教授 (40217930)
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Keywords | ランチビオティック / nukacin ISK-1 / 異常アミノ酸形成酵素 / 基質特異性 / ランチオニン / リーダーペプチド / プロ領域 / ESI-MS |
Research Abstract |
Staphylococcus warneri ISK-1が生産するランチビオティック、nukacin ISK-1の生合成に関与する生合成酵素NukM(異常アミノ酸形成酵素)の基質認識機構の解明を試みた。 N末端にHis-tagを付与したプレペプチドNukA(His-NukA)とNukMを、大腸菌を宿主として共発現させた。発現したHis-NukAをアフィニティークロマトグラフィーにより精製し、ESI-MSを用いて分子量を測定したところ、4分子の脱水反応に相当する72Daの減少が確認された。さらにアミノ酸シーケンス、アミノ酸組成分析の結果から、His-NukAのプロ領域での異常アミノ酸形成が明らかとなった。また、システイン残基のチオール基をシアノ化する1-cyano-4-dimethylamino-pyridinium tetrafluoroborate(CDAP)の処理により、環化反応に関与しないシステイン残基を特異的に検出することができた。このように、MSとCDAP処理との組み合わせによって、NukMによる異常アミノ酸形成を迅速に評価することができた。 次に、構築したシステムを用いて様々なHis-NukA変異体とNukMを共発現させ、異常アミノ酸形成を解析した。その結果、異常アミノ酸形成に関わるアミノ酸のアラニン置換体では、他の被修飾残基での完全な脱水、環化反応が起こっていた。一方、プロ領域C末端側の部分欠損体では、脱水、環化反応が不完全であった。以上の結果より、プロ領域C末端の長さはNukMの反応効率に関与しており、また各修飾残基の脱水、環化反応は独立して起こることが明らかとなった。 リーダーペプチド部分(保存領域、α-ヘリックス形成に関与するアミノ酸)への変異導入による解析結果から、翻訳後修飾にはα-ヘリックス構造のみならず-4,-7の疎水性残基が必須であった。
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