2006 Fiscal Year Annual Research Report
リパーゼ・スーパーインデューサー作用機構の解明と有用蛋白質大量生産システムの構築
Project/Area Number |
18658037
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
石塚 盛雄 中央大学, 理工学部, 教授 (50168241)
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Keywords | リパーゼ / リパーゼ超誘導機構 / スーパーインデューサー / 高級アルコール / ステアリルアルコール / パルミチルアルコール / 高級アルコールの資化 / 蛋白質分泌制御 |
Research Abstract |
リパーゼ・スーパーインデューサー作用機構の解明と有用蛋白質大量生産システムの構築の為の第1段階として、平成18年度は以下の研究結果を得た。 1.最近見出した高級アルコールで超誘導される熱安定リパーゼの遺伝子をクローニングし、蛋白質の部位特異的アミノ酸残基変異(S130A、R137P、C228A)による熱安定化因子を探索した結果、S130はリパーゼ活性に必須、R137は活性部位の側面を覆うα-ヘリックスドメインを形成して熱安定化に寄与、C228はC286とジスルフィド結合して触媒能に寄与すると推定された。また、未分泌性のラクトン特異的エステラーゼ遺伝子をクローニングし、進化分子工学的手法によるアミノ酸残基置換により、野生型エステラーゼより10℃安定なエステラーゼの創製に成功したことにより、高級アルコールを超誘導剤とした有用蛋白質生産システムの対象材料二つを確保できた。 2.好気培養条件下では高級アルコールの添加によりリパーゼと機能未知の15kDa蛋白質が大量に分泌されるが、酸素供給量を制限すると、それら以外に機能未知の17kDa蛋白質が菌体外に大量分泌される。培養後期には17kDa蛋白質が消失し、15kDa蛋白質の菌体外濃度が上昇するため、17kDa蛋白質は15kDa蛋白質の前駆体であることが示唆された。15kDa蛋白質を精製してN-末端アミノ酸配列を決定した結果、長鎖炭化水素の分解促進作用システムに関係すると推定される蛋白質群の遺伝子クラスター中の機能未知遺伝子から推定した遺伝子産物のアミノ酸配列と高い相同性があった。15kDa蛋白質は相同蛋白質のN-末端アミノ酸配列を欠く事実からも、17kDa蛋白質は15kDa蛋白質の前駆体と示唆された。この蛋白質の機能を解明することによって、リパーゼ・スーパーインデューサーの作用機構解明の糸口となることが期待できる。
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Research Products
(5 results)