2006 Fiscal Year Annual Research Report
節足動物表皮に存在するキチン吸着性を持つ高脂溶性タンパク質
Project/Area Number |
18658047
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
今井 邦雄 三重大学, 大学院生物資源学研究科, 教授 (80109313)
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Keywords | 高脂溶性タンパク質 / キチン吸着性 / 節足動物表皮タンパク質 / Pb CP類 / 包括的構造解析 / アマエビ殻 / シャコ殻 / キチン吸着最小構造 |
Research Abstract |
本年度は、アマエビ殻中の脂溶性タンパク質で構造未解明なものを、精製単離することなく、包括的に構造解明することから、開始した。過去に確立している抽出法でアマエビ殻から脂溶性タンパク質-Pb CP類-混合物を得て、それ以上の精製を加えることなく、酵素分解、HPLC分析、アミノ酸配列解析を適用し、含まれているキチン吸着性、高脂溶性タンパク質の構造を包括的に調べた。この結果、過去の研究で明らかにしているPb CP-8.3、12.7、13.4の3種に加え、[S^<51>] Pb CP-12.7,[V^3,S^<51>] Pb CP-12.7,[L^3] Pb CP-13.4,[L^3,S^<65>] Pb CP-13.4の4種を見出すことができた。これにより、アマエビ殻が持つキチン吸着性・脂溶性タンパク質の全貌をほぼ明らかにすることができた。 また、他種の節足動物表皮に類似の高脂溶性タンパク質が存在するか否かをあきらかにするために、シャコを材料として調べてみた。しかしながら、現時点でシャコ表皮から、カイコ表皮やアマエビ殻の脂溶性タンパク質と類似した性質を示すタンパク質を見出せていない。今後、三重県下で入手の容易なエビ類や表皮を入手可能な昆虫を材料にして、新脂溶性タンパク質を探索していく予定である。 一方、アマエビ殻の高脂溶性タンパク質を酵素分解することにより得られる断片のキチン吸着能を解析し、Pb CP-13.4の場合、少なくともA^<25>からR^<65>の断片が存在すれば、キチン吸着能を示すことを明らかにできた。今後、より小分子でキチン吸着性を持つ断片を探し、その誘導体作成をはかる予定である。
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