2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18658054
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安達 修二 Kyoto University, 農学研究科, 教授 (90115783)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島 元啓 京都大学, 農学研究科, 助教 (60293916)
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Keywords | ナノエマルション / 酸化 / 脂質 / ナノ粒子 / 食品エマルション |
Research Abstract |
ナノ粒子を調製する技術が進展し,粒子の微細化に伴って生起する現象の実験的な検討が可能となった.不飽和脂肪酸を含む液状脂質を油相とする水中油滴(O/W)型エマルションでは,一般的には,油滴の微細化により比表面積が増加するために酸化が促進されると考えられているが,微細化による相対的な界面活性剤疎水基の増加に伴う脂質濃度の低下およびラジカルによる連鎖の及ぶ脂質分子の確率的低下により,脂質の酸化は抑制されるとも予測できる.この推論の実験的な検証を主目的とした.まず,ミセル系からO/W型エマルション系にわたり分散粒子径が大きく異なる系での脂質酸化を測定し,粒子径が極めて微細なミセル系では粒子サイズが小さいほど酸化速度が遅くなることを見出した.この現象は,当初予測した界面活性剤の疎水基による脂質の希釈に基づいて説明できると考える.さらに,O/W型エマルションを食品高分子で被覆して調製した粉末化脂質においても油滴径が小さいほど酸化が遅延され,かつ酸化が実質的に停止するときの未酸化率が高いことを見出した.後者の現象を確率論的な浸透理論に基づいて合理的に解析した.また,油相への酸素の分配係数に及ぼす油滴径の影響を検討するための基礎的な知見として,脂肪酸組成の異なる各種の油脂への酸素の分配係数を簡便に測定する方法を開発し,油相への酸素の分配係数を温度の関数として詳細に測定した.また,油脂が液体から固体に変化しても分配係数の不連続的な変化は起きないと解釈できる結果を得た.
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Research Products
(1 results)