2006 Fiscal Year Annual Research Report
安全性の高い次世代型食物アレルギー対策ワクチンの開発
Project/Area Number |
18658057
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
田辺 創一 広島大学, 大学院生物圏科学研究科, 助教授 (90272624)
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Keywords | 乳酸菌 / 抗アレルギー / 腸管細胞 / タイトジャンクション |
Research Abstract |
安全性の高い抗原特異的な食物アレルギー対策ワクチンを作製することを目的として、代表的な食物抗原である卵白アルブミン(OVA)を用いて、加熱殺菌を施した乳酸菌によるワクチン効果をマウスモデルで検討した。数種類の乳酸菌を培養した後、加熱処理により死菌を得た。この乳酸菌を凍結乾燥し、OVAと不完全フロイントアジュバントとを混合したものを皮下注射し、10日後、OVAをAlumとともに腹腔内に免疫した。免疫は10日および17日目に2回行った。24日目にマウスを解剖し、脾臓細胞を得、OVA特異的および非特異的サイトカイン産生を検討した。その結果、OVAを添加せず乳酸菌のみを腹腔内投与したマウスでは、Th1/Th2バランス改善効果が見られ、特にIFN-γ増加能は優れていた。しかし、OVAを添加したものでは、有効な改善効果が見られなかった。現在、OVA特異的抗体産生量を解析している。今後、OVAの抗原性を低下させるために、OVA加水分解ペプチドを作製し、これを乳酸菌と共免疫することなど、引き続き検討が必要であると考えられた。 平行して、乳酸菌を経口ワクチンとして用いるための予備検討として、ヒト腸管細胞におよぼす乳酸菌の効果についてCaco-2細胞を用いて検討した。ある種の乳酸菌は、Caco-2細胞におけるIL-8などの炎症性サイトカインの発現を抑制し、タイトジャンクション機能を強固にする作用のあることが明らかとなった。この作用は、乳酸菌をリパーゼ処理すると失われることから、活性には脂質関連の物質が関わっていることが示唆された。今後、腸管保護因子成分の同定や、保護メカニズムについて解析する必要がある。
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