2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18658061
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
橋本 良二 Iwate University, 農学部, 教授 (80109157)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 茂太 森林総合研究所, 東北支所, グループ長 (60353885)
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Keywords | 樹木医学 / 幹組織 / 呼吸活性 / 生理ストレス / 心材腐朽 / 樹木倒壊 |
Research Abstract |
樹木の形成層周辺組織のアデニンヌクレオチドの総量,構成が組織の呼吸活性と密接に結びついていることが,18年度の研究より示唆されたことから,19年度は樹木組織の呼吸速度に重点をおき,現地立木の主に幹木部組織の呼吸速度について,新たな精密測定法を試みるとともに樹勢衰退木の生理評価・診断法と関連づけて検討をおこなった。1)呼吸量測定器の試作最近,赤外線CO_2分析器で分析ユニットのエア・サンプル室を開放状態にしたCO_2プローブ(拡散式CO_2プローブ)が考案され市販されている。本研究では,この拡散式CO_2プローブの分析ユニットのエア・サンプル室を組織試料呼吸室内に取り込んだ呼吸量測定器を試作し,以下の検討結果を得た。本器では,呼吸室に試料を入れ蓋を閉めてから20秒ほどで定常値を得ることができる。呼吸速度の算定では,試料を入れてからの経時的なCO_2濃度上昇に対する直線回帰により分析値ノイズが十分丸められ,精度面で支障がない。試料は生重で0.3g以下でも信頼できる測定が可能である。試料採取を開始してから3分以内に測定を終了することができる。2)樹勢衰退立木の幹木部組織の呼吸速度測定腐朽・倒壊が進行している都市公園内の樹林地で測定をおこなった。外観上枯死木あるいは瀕死木と見られる立木について,幹木部組織呼吸速度の面から適確に特定することができた。幹横断面の放射方向における超音波伝播速度と幹木部組織呼吸速度とを突き合わせたところ,伝播速度の遅い個体で幹木部組織呼吸速度が低い傾向が見られ,幹木部組織呼吸速度が腐朽状態あるいは腐朽感受性の診断に役立つ可能性が示唆された。
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