2006 Fiscal Year Annual Research Report
非病原性ウイルスを用いた魚類ウイルス病のバイオコントロール
Project/Area Number |
18658080
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中井 敏博 広島大学, 大学院生物圏科学研究科, 教授 (60164117)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沖中 泰 広島大学, 大学院生物圏科学研究科, 助教授 (80363034)
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Keywords | 魚類ウイルス病 / ビルナウイルス / バイオコントロール / インターフェロン / Mxタンパク質 |
Research Abstract |
本年度実施した研究結果は以下のように要約される。 (1)マハタに対するアクアビルナウイルス(ABV)の病原性 当初の計画ではマハタ仔魚に対するABV(FBV株)の病原性を検討する予定であったが、本種の種苗生産が不調であったため、仔魚を用いた実験は実施できなかった。 魚体通過による病原性獲得の有無をみるため、RTG-2細胞で培養したFBV株をマハタ稚魚(体長約15cm)の筋肉内に接種し(10^7TCID_<50>/fish、各5尾供試)、接種3日後に腎臓からウイルスをRTG-2細胞で分離した。この魚体通過操作を計10回行なった後、分離ウイルスを10^7TCID_<50>/fishマハタ稚魚に接種し、2週間(水温25℃)観察した結果、実験魚に病的徴候は認められなかった。 コイヘルペスウイルス病へのABVの応用を目的として、ABV(FBV株)のコイ(マゴイ)に対する病原性を筋肉内注射法(10^7TCID_<50>/fish)により調べた結果、FBV株はマゴイに対して病原性を示さなかった。 (2)魚体内でのABVの動態 上と同様、FBV株を10^7TCID_<50>/fishマハタ稚魚に接種し、接種3,7,14,21,28日(水温25℃)に、RTG-2細胞を用いて腎臓内ウイルスを定量した(各5尾供試)。その結果、3日後では5尾中3尾から平均10^<4.9>TCID50/g(腎臓>でFBVが検出され、10^<3.9>TCID_<50>/g(7日後)、10^<3.7>TCID<50>/g(14日および21日後)と減少し、28日後には検出限界以下(10^<2.6>TCID_<50>/g)となった。 一方、ヒラメ稚魚(約10g)では、FBV株を10^7TCID_<50>/fish筋肉内接種された魚の腎臓におけるウイルス力価はかなり高く、3-14日後で平均^<4.5-7.5>TCID_<50>/g、21日後でも平均10^<4.7>TCID_<50>/gであった。マゴイでのウイルスの消長は未検討。 (3)コイヘルペスウイルスに対するABVの感染防御効果 コイ(マゴイ)にABV(FBV株)を筋肉内注射し(10^7TCID_<50>/fish)、接種3日後にコイヘルペスウイルスによる攻撃試験を行なった結果、実験区とABVを接種しなかった対照区との間の死亡率に有意差は認められなかった。
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