2006 Fiscal Year Annual Research Report
魚類の始原生殖細胞を標的とした新しい不妊化技術の開発
Project/Area Number |
18658081
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Research Institution | Fisheries Research Agency |
Principal Investigator |
玄 浩一郎 独立行政法人水産総合研究センター, 養殖研究所生産技術部, 主任研究員 (80372051)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 和男 独立行政法人水産総合研究センター, 養殖研究所生産技術部, チーム長 (00202739)
岡本 裕之 独立行政法人水産総合研究センター, 養殖研究所生産技術部, 主任研究員 (50372040)
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Keywords | 不妊化技術 / 始原生殖細胞(PGC) / 放射線照射 / メダカ |
Research Abstract |
水産有用魚種の多くは、性成熟に伴って肉質の劣化や体色が変化するため、水産物の高品質化を図るうえで大きな障害となっている。このため配偶子の形成を人為的に抑制する技術(不妊化技術)の開発が強く望まれている。本研究は、配偶子のもととなる始原生殖細胞(PGC)を標的とした新たな不妊化技術を開発する端緒として、哺乳類等でその影響が強く示唆されている放射線に着目し、魚類PGCの形成・分化に及ぼす放射線の影響を明らかにすることを目的としている。これまでの哺乳類の解析で、一定量以上の放射線照射(しきい値)によって不妊化が起こることが明らかとなっている。しかし、魚類では生殖腺におけるしきい値は不明であるうえ、水界で生息する魚類に哺乳類で得られた知見が適用できるとは考えにくい。このため当該年度においては、まずは放射線の照射時期の違いが、魚類PGCの形成・分化にどのような影響を及ぼすかを東京大学大学院新領域創成科学研究科より提供を受けた生物遺伝資源(メダカ)を用いて解析した。本メダカ(olvas-GFP : Tanaka M.et al.,2001)は、始原生殖細胞特異的な分子マーカー(vasa)のプロモーターを利用したトランスジェニック魚で、蛍光顕微鏡下で始原生殖細胞が可視化できるという利点を持つ。実験では、一定量の放射線を発生段階の異なるメダカ胚に照射し、各処理における始原生殖細胞の形成・分化の状態を蛍光顕微鏡下で観察した。その結果、後期原腸陥入期の放射線照射はメダカの胚発生に著しいダメージを与え、全ての個体で孵化には至らなかった。他方、6〜12体節期以降の放射照射による孵化への影響は、ほとんど見られなかった。また、いずれの処理群においても放射線照射による明確な奇形は観察されなかった。次に、各処理群の始原生殖細胞を蛍光顕微鏡下で観察した結果、放射線照射によって始原生殖細胞の数が著しく減少し、一部の個体では完全に消失すること、さらにその効果は孵化直前のステージで顕著であることが判明した。
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