2006 Fiscal Year Annual Research Report
海綿由来の細胞毒性ペプチドをモデルとしたイオンチャネル分子の創製
Project/Area Number |
18658082
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松永 茂樹 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 教授 (60183951)
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Keywords | 細胞毒性 / ペプチド / イオンチャネル / 化学合成 / モデル |
Research Abstract |
Gramicidin A・2倍長分子の調製Gramicidin Aが二重膜を貫通するためにはN末端同士が直列に結合して二量化する必要があること、および、トリプトファン残基がβ-ヘリックスの形成に重要な役割を担っていることに基づき、グリシンを介してgramicidin Aと逆配列gramicidin A(retro-gramicidin A)を結合したペプチドをデザインした。また、ペプチドが溶液から二重膜に移行しそこに止まるために重要な役割を担っていると考えられる両末端については、N末端はpolytheonamide由来のβ-ケト酸、C末端はgramicidin Aと同一のエタノールアミンとしたペプチド1を設計した。Gramicidin AのN末端同士をスペーサーを介して連結した分子の報告は過去にあるが、ペプチド1の様にgramicidin Aを模した鎖状ペプチドの合成はこれまでにされていない。Fmoc法を用いるペプチド合成において、様々な条件を行い37残基ペプチドそのものを固相合成により調製することを試みた。樹脂から切り出した段階でマススペクトルを測定すると、おおよそ予想されたサイズの分子が合成されていることがわかった。しかし、得られた混合物の生成が著しく困難で、期待したペプチドを単離することはできなかった。そこで、合成戦略を変えて、逆配列gramicidin Aをまず合成し、別途gramicidin Aの酸処理によりdesformylgramicidin Aを調製し、両者を化学的に結合することとした。16残基ペプチドのdesformylgramicidin Aは、Fmoc法を用いるペプチド合成により良好な収率で調製することができた。一方、gramicidin Aからdesformylgramicidin Aへの変換は、文献記載の方法で行った。このようにして、N末端がFmocで保護され、C末端にエタノールアミンが位置するペプチドを合成することができた。
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