2006 Fiscal Year Annual Research Report
カロリー制限を与えたシオミズツボワムシの個体群変動と分子機構の解析
Project/Area Number |
18658083
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡部 終五 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 教授 (40111489)
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Keywords | シオミズツボワムシ / 個体数変動 / カロリー制限 / 寿命 / ストレス耐性 / ストレスタンパク質 / cDNAサブトラクション / 定量的リアルタイムPCR |
Research Abstract |
シオミズツボワムシBrachionus plicatilis(以下、ワムシと略記)の個体群は、増殖の過程で時折急激に減少(崩壊)する。個体数の減少はワムシの寿命やストレス耐性と密接に関連すると考えられるが、その機構は未だ不明である。そこで本研究では、寿命の延長およびストレス耐性の増大をもたらすカロリー制限(CR)がワムシ個体群に及ぼす影響を分子レベルで明らかにすることを目的とした。本年度は個体群レベルでの解析に先立ち、CRがワムシ個体に及ぼす影響を詳細に調べた。 CRによりmRNA蓄積量が増大する遺伝子を探索するため、1日に3時間のみ給餌したCR群と、常に餌を懸濁した培地中で培養した対照群を用いてcDNAサブトラクションを行った。得られた40種類の遺伝子につき半定量的RT-PCRを行い、CRによりmRNA蓄積量が増大する遺伝子32種類を同定した。また、寿命に関連すると考えられる解糖系および電子伝達系の遺伝子を別途ワムシからクローニングし、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)など6種類の遺伝子のmRNA蓄積量がCRで増大することを定量的リアルタイムPCR法で明らかにした。 次に、HSP60およびHSP70の市販抗体を用いてウエスタンブロットを行ったところ、これらの抗体と反応するそれぞれ約60kDaおよび70kDaのタンパク質がワムシ体内に存在することがわかった。さらに、約60kDaタンパク質量はカロリー制限により増大することが示された。今後、抗体の特異性を確認することで、これらの市販抗体がワムシのストレス耐性とストレスタンパク質の関係を調べるための有用な手段となることが期待される。
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