2007 Fiscal Year Annual Research Report
知的財産権を用いた農業の保護と活性化に関する農業政策
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18658085
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
石塚 悟史 Kochi University, 国際・地域連携センター, 准教授 (40380307)
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Keywords | 政策研究 / 経済政策 / 農業経済学 / 知的財産 / 農業統計 |
Research Abstract |
目的:農業技術は広く公開すべきという考えから、排他的権利の設定には積極的ではなく、権利としての知的財産権の意識が希薄であった。国内外における大競争時代にあっては、知的財産権の取得、活用は競争に勝ち抜くための有力な手段となりえる。本研究では、過去30年間の各都道府県における農業分野の知的財産権の出願動向、農業統計、農業政策、ブランド化戦略等を調査し、知的財産権の活用による農業活性化政策を検討することを最終目的とする。 方法:平成19年度は、日本国内における農業関連技術分野の特許・実用新案を、国際特許分類(IPC)に基づいた調査を行った。更に、PATOLIS-IVにおける県コード及びキーワードを用いて、検索論理式を作成し、出願件数の機械検索を行った。尚、出願日を基準として各種のデータを算出した。 結果:1974年から30年間の農業関連技術区分の特許及び実用新案の延べ出願件数は約62,000件であった。そのうち約6割が栽培に関する出願であった。農業分野における出願件数は、年によって若干の増減はあるものの年間2,000件前後であった。都道府県毎で集計した場合、個人出願の件数が多い地域もあった。農業技術を知的財産として有効に活用するためには、一般的な活用方法に加え、技術を使用する範囲(開発者個人か、ある程度限られた地域やグループか)を考慮する必要がある。農産物の品質の改良のための技術などは、個々の農家が単独で取り組むだけでは付加価値に結びつかず、ある程度の生産量を確保できるよう地域全体で産地化に取り組むことによって、経済的な価値を向上させることができる場合もある。そのため、地域として活用できる農家の知的財産権を保護するためには、行政や農業団体等による支援を地域全体に波及させていくための仕組み作りが必要になると考えられる。
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