2006 Fiscal Year Annual Research Report
間葉系多能性幹細胞モデルの確立と再生医療研究に向けた応用性の探索
Project/Area Number |
18658110
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
山手 丈至 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 助教授 (50150115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊谷 大二郎 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 助手 (70316016)
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Keywords | 幹細胞 / マクロファージ分化細胞株 / TGF-β1 / PDGF-BB / 悪性線維性組織球腫 / 未分化幹細胞認識抗体 |
Research Abstract |
「再生医療」は生体に存在する多能性幹細胞をある特定の器官や組織に分化させ本来の機能や構造を失ったそれら組織を補い治療する医療術である。しかし、間葉系幹細胞からの高分化型間葉系細胞(骨芽細胞、軟骨芽細胞、線維芽細胞、筋線維芽細胞など)への分化様式の全貌は未だ解明されていない。本研究の目的はラット由来の間葉系の多能性幹細胞株と高分化型細胞株を樹立し、これら細胞株を用いて間葉系の分化様式を解明することである。 本年度は以下の成果を得た。 ラットの胸部皮下組織に自然発生した悪性線維性組織球腫から移植腫瘍株(KJ)とクローン細胞株(KJ-A)の樹立に成功した。この腫瘍細胞は、ラットのマクロファージ特異抗体(ED1、ED2)、そしてリソソーム酵素である酸ホスファターゼと非特異的エステラーゼに陽性反応を示しマクロファージの特性を有することが示された。さらに、KJ-Aにマクロファージ活性化因子であるリポポリサッカライドを添加するとTNF-α mRNA発現が増強した。KJ-Aはマクロファージ機能を有することが明らかとなった。一方、未分化幹細胞を認識するA3抗体を適応するとKJ-Aに陽性細胞が散見された。よってこの細胞株は、未分化幹細胞の特性を有するが微小環境条件に依存してマクロファージに分化できる細胞群であると考えられた。本研究課題の遂行において有用な細胞株の作出に成功した。 また、すでに確立したラットの未分化幹細胞株であるMT-9にTGF-β1を添加するとα-平滑筋アクチン発現の筋線維芽細胞に分化することが示された。さらに、PDGF-BB添加によりその効果が相乗的に増強することが分かった。筋線維芽細胞への分化規定因子の一端を明らかにした。 現在、有用な細胞株の更なる確立と分化規定因子の解明を継続し研究している。
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Research Products
(1 results)