2008 Fiscal Year Annual Research Report
間葉系多能性幹細胞モデルの確立と再生医療研究に向けた応用性の探索
Project/Area Number |
18658110
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
山手 丈至 Osaka Prefecture University, 生命環境科学研究科, 准教授 (50150115)
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Keywords | 幹細胞 / クローン細胞 / 幹細胞特異抗体 / 腫瘍細胞分化 / 脾壁細胞血管腫 |
Research Abstract |
「再生医療」は生体に存在する多能性幹細胞をある特定の器官や組織に分化させ、本来の構造を失ったそれら組織を補い治療する医療術である。しかし、間葉系幹細胞の分化様式の全貌は未だ解明されていない。本年度は、間葉系の多能性幹細胞株を用いて、それを抗原として、生体幹細胞を特異的に標識する抗体の開発を試みた。また、ラットの腫瘍から新たな多分化能幹細胞の確立に成功した。さらに、種々の自然発生腫瘍の特性を解析し、脱分化状態の腫瘍細胞がどのような方向に分化する潜在能力があるのかについて解析した。 最終年度である本年度は、以下の成績を得た。 1.ラットの悪性線維性組織球腫から分離したクローン株MT-9を抗原として、MT-9をマウスに接種し、得られた脾細胞とミエローマ細胞とのハイブリドーマ細胞を作製し、生体幹細胞を特異的に標識する抗体A3の作製に成功した。 2.ウエスタンブロット法によりA3認識蛋白は60kDの分子量を有し、免疫組織化学的に骨髄の紡錘系の幹細胞と血管周囲の周皮細胞を特異的に識別することを明らかにした。 3.さらに、A3抗体は、傷害を受けた腎組織では、糸球体や線維化部位の血管内皮細胞を識別することが示された。傷害部位の血管内皮は骨髄幹細胞に由来することが示唆された。 4.ラットの悪性奇形腫から筋線維芽細胞と骨芽細胞への分化能のあるクローン株の樹立に成功した。この細胞も、A3抗体に対して陽性を呈し、未分化な特性があることが示された。 5.老齢のニホンサルの脾に発生した壁細胞血管腫を、免疫組織化学的に解析したところ、この腫瘍細胞は、血管内皮とマクロファージの双方の特性を有することを示した。これは、脾洞壁細胞が周囲の微小環境条件により異なる性質の細胞に分化する可能性を示唆する。
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Research Products
(2 results)